定額減税がふるさと納税に与える影響を解説
2024.06.12
定額減税によって所得税や住民税が減税されると、ふるさと納税の節税効果を十分に受けられないのではないかと心配されている方がいらっしゃいます。
結論を言うと、定額減税によってふるさと納税の節税効果が減少することはありません。
定額減税とは
定額減税とは、所得税や住民税の納税義務者である個人に対し、その所得税や住民税を減税する形で実施される経済政策です。
定額減税の対象となる税金
定額減税によって減税の対象となる税金は、所得税の場合は令和6年分、住民税の場合は令和6年度分の所得割となっています。細かい話ですが、対象となる所得について、以下の違いがあります。
【所得税】
令和6年分の所得税(令和6年1月1日から令和6年12月31日の所得)
【住民税】
令和6年度分の住民税所得割(令和5年1月1日から令和5年12月31日の所得)
(※)住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、令和5年の所得に対する所得割が減税対象になります。
定額減税の減税額
定額減税の金額は、所得税から3万円、住民税から1万円の計4万円です。
また、その納税者本人が同一生計である配偶者や親族を扶養している場合、その人数に応じて1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)の減税額が加算されます。
定額減税の対象者の条件については、こちらの記事で解説しています。
定額減税によるふるさと納税の影響について
それでは、定額減税によるふるさと納税への影響について解説をします。
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、対象となる寄附金から2,000円を控除した残りの金額が、所得税と住民税からそれぞれ控除されるものです。
ふるさと納税でない寄附金の中にも、所得税と住民税から控除を受けられるものがありますが、ふるさと納税の場合は、特例によって、住民税の控除額が通常より大きいことに特徴があります。
そのため、限度額内の寄附であれば、寄附金から2,000円を控除した残額分に相当する減税を受けることができます。
定額減税とふるさと納税で気になる2つのポイント
定額減税がふるさと納税に与える影響について、気になるポイントは2つあると思います。
・1:ふるさと納税の限度額に「定額減税」を考慮しなければならないか
・2:ふるさと納税のせいで「定額減税」を十分受けられなくなったのではないか
これについて、一つずつ解説します。
1:定額減税による「ふるさと納税」の「限度額」への影響
ふるさと納税の限度額は、住民税から控除される「特例分」(寄附金-2,000円)×(90%-所得税率)の金額が「住民税所得割の2割」となります。
すると、住民税所得割が定額減税で減額される場合、この限度額が下がるのではないかという懸念が生じます。
結論からというと、ふるさと納税の限度額は「定額減税」によって下がることはありません。
なぜなら、この限度額は定額減税「前」の所得割額から判定されるためです。
ふるさと納税による「定額減税」の金額への影響
ふるさと納税によって節税をしたことによって、今回の定額減税の恩恵が十分に受けられなくなったのではと不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
例えば、4人家族で所得税12万円、住民税4万円の控除を受けられる方が、ふるさと納税をしたことによって、納税額が5万円などに下がり、定額減税の金額を下回ってしまうケースです。
住民税に対する定額減税は、令和6年度分、つまり令和5年の所得割が対象ですから、令和5年に行ったふるさと納税による住民税の節税効果が、定額減税の減税分を縮小させたのではないかという話になります。
これらについても、心配はありません。
なぜなら、定額減税によって控除しきれない所得税や住民税が生じた場合、控除不足額が1万円単位で、自治体から納税者に給付されるからです。
この給付を「調整給付」といいます。
まとめ
定額減税によってふるさと納税の上限額が減ったり、逆に、ふるさと納税をしたことによって定額減税が十分に受けられなくなることはありません。
「調整給付」の金額の計算方法などについては、こちらの記事でまとめました。
また、ふるさと納税の確定申告をするときの5つのチェックポイントの記事も参考にしてください。
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