会社員のための定額減税Q&A 共働き世帯の減税や控除しきれない時の給付金なども解説
2024.07.3
会社員の方に向けて、定額減税のわかりにくいポイントをQ&A形式でまとめました。
定額減税のQ&A(定額減税の基本)
Q:私は定額減税を受けられますか?
A:国内居住者であり、合計所得金額が1,805万円以下であれば受けられます。所得税は本年(令和6年)の所得で、住民税は前年(令和5年)の所得で判定します。
Q:合計所得金額1,805万円以下とは年収でどのくらいですか?
A:その年の収入が給与のみであれば、2,000万円以下が合計所得金額1,805万円以下と等しくなります。所得金額調整控除の適用を受ける場合は2,000万円以下ではなく2,015万円以下になります。所得金額調整控除は、給与年収が850万円を超える方のうち、23歳未満の扶養親族を有するなど一定の要件にあてはまる場合に適用されます。
Q:私はいくら定額減税を受けられますか?
A:納税者1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)の減税が受けられます。合計所得金額48万円以下などの諸要件を満たす同一生計のご家族がいれば、その分もご自身の所得税と住民税からまとめて減税します。対象者の要件は、こちらの記事で詳しく解説しています。
Q:私の合計所得金額は1,805万円を超える見込みですが、扶養している家族の分の控除は受けられますか?
A:受けられません。合計所得金額1,805万円を超えると、そもそも定額減税の対象にならないため、その人に属する同一生計配偶者や扶養親族の分だけ減税を受けるということもできなくなります。なお、給与所得者として月次減税の対象になる方であれば、6月に一旦は減税を受けますが、年末調整や確定申告で精算されます。
Q:どのような手続きで定額減税を受けられますか?
A:基本的には、所得税・住民税ともに、令和6年6月以降の給与等から控除される所得税と住民税を、勤務先が減額することによって受けられます。所得税については、令和6年6月以降に支給される給与や賞与から差し引かれる「源泉徴収税」を減額する方法によって実施されます。控除しきれない場合は、それ以降に支給されるものから順次控除します。住民税は、令和6年6月分を0円にして、7月から翌年5月にかけて減額後の住民税を11等分して徴収する方法によって実施されます。いずれも特に手続きは要りませんが、所得税については、6月から正しく減税を受けるために追加書類を提出することもできます。
Q:月次減税の対象者になるのはどのような人ですか?
A:月次減税は、令和6年6月以降に支払われる給与(あるいは賞与)の源泉徴収税額から定額減税分を順次控除する方法で実施されます。勤務先に「令和6年分の扶養控除等申告書」を提出しており、かつ、令和6年6月1日に在職している人が対象になります。
Q:月次減税と年調減税でどのように所得税の定額減税が実施されますか?
A:月次減税と年調減税は、企業が行う毎月の給与から天引きする源泉徴収の事務と、年末調整の事務を利用して、6月分以降の給与や賞与から天引きする源泉徴収税を月次減税によって順次控除した後に、年末調整において正しい減税額を控除した後の税額でその年に徴収した源泉徴収税額との差額を精算します。例えば、年末調整による年税額が30万円、その年に36万円の源泉徴収をしていた場合は差額の6万円が還付されます。これに定額減税3万円を適用した場合、年税額は27万円になりますが、月次減税の源泉徴収が33万円であれば、同じく6万円が還付されます。
月次減税の対象にならない方や、月次減税における減税額に過不足がある方も年調減税を受けることによって定額減税を受けることができます。
定額減税のQ&A(共働きの場合)
Q:共働き夫婦の定額減税はどうなりますか?
A:合計所得金額が48万円を超える見込みである方は、ご自身の所得税と住民税から4万円の定額減税を受けます。夫婦それぞれが月次減税の条件を満たしていれば、それぞれの勤務先から支給される給与から定額減税を受けることができます。
下記は所得税の減税のイメージ図です。
(注)給与年収2,000万円を超える見込みでも月次減税の実施対象になります (注)お子さんなどの扶養親族の控除が重複しないよう注意しましょう
Q:私は合計所得金額1,805万円を超えますが、共働きをしている妻は超えません。私は定額減税の対象にならないので子どもを妻の扶養親族として妻の所得税から減税してもらうことは可能ですか?
A:定額減税の制度上は可能ですが、注意点があります。まず、お子さんが16歳以上であれば、所得控除の「扶養控除」の対象になります。この「扶養控除」は所得が高いほど節税効果が高くなりますので、妻の扶養親族として勤務先の月次減税と年調減税を受けると、かえって世帯の納税額が増える可能性があります。お子さんが16歳未満であるため節税効果を損ねる心配がない場合は、税務上の問題点は特にありません。ただし、会社が加入する社会保険の扶養情報と合わなくなることを会社が気にしたり、会社の福利厚生として支給されている手当が受けられなくなったりと、税務以外のところに影響が生じないかどうかはご注意ください。
定額減税のQ&A(給付金関係)
Q:納税額が少額であるため控除しきれない定額減税が発生するのですが、どうなりますか?
A:市町村から1万円単位で「調整給付金」が支給されます。例えば所得税と住民税を合わせた減税不足額が「2.5万円」である場合、1万円未満を切り上げた額である「3万円」が支給されます。なお、所得税の不足分額はあくまで「見込み」で計算されています。そのため、令和6年分の所得の確定後に、さらなる不足額が生じることもありますが、その場合は追加の支給が検討されているようです。
【 起業支援 ・節税対策なら名古屋市北区の三宅正一郎税理士事務所にご相談下さい】