【令和6年度税制改正】消費税のプラットフォーム課税 何が変わるのかをわかりやすく解説
2024.07.17
令和6年度税制改正により導入が決まったプラットフォーム課税により、誰の何が変わるのかを解説します。
諸外国の制度を参考に「プラットフォーム課税」を導入
令和6年度税制改正により導入されるプラットフォーム課税は、国外から日本国内の消費者等に向けて配信されるアプリ等の消費税の納税義務を、その配信の仲介をするプラットフォーム(アプリストア、オンラインモール等)に課す新しい税制です。
日本人向けにデジタルサービスを提供している海外の会社や、それを仲介するプラットフォームを運営している事業者に関係する改正になります。
令和7年4月1日以後に行われる取引から適用が開始されます。
プラットフォーム課税によって変わること
プラットフォーム課税とは、本来であれば、アプリ等を提供する国外事業者に課せられる消費税の申告・納税義務を、取引を仲介するプラットフォーム事業者が代わりに負うことになる制度です。
そのため、プラットフォーム課税の対象となる取引においては、国外事業者は消費税の申告・納税を行う必要がなくなります。
つまり、プラットフォーム課税の影響を受けるのは、対象となるプラットフォームを運営する事業者と、そのプラットフォームを通じて日本向けにデジタルサービスを提供する国外の事業者の二者です。
デジタルサービスを利用する消費者には関係がなく、税負担が増えるなどの影響があるものではありません。
プラットフォーム課税の対象取引
プラットフォーム課税の対象になるのは、国外事業者が「日本の消費者向けに行う電気通信利用役務の提供」を「特定プラットフォーム事業者」を介して行う取引に限られます。
したがって、日本向けにアプリ等を配信するすべてのケースがプラットフォーム課税の対象になるわけではありません。
対象要件を正確に把握することが大切です。
要件1:国外事業者が日本の消費者向けに「電気通信利用役務の提供」を行うこと
国外事業者が、日本の消費者向けに、アプリ配信など「電気通信利用役務の提供」を行う場合が対象となります。
「電気通信利用役務の提供」とは、アプリ配信の他にも、電子書籍や音楽の配信など、電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供をいいます。
かつて主流であったバイセル方式(プラットフォームがコンテンツを購入して販売する方式)はそもそもプラットフォーム側に納税義務があるため、プラットフォーム課税の対象ではなく、セールエージェント方式といって、プラットフォームにおいて取引の仲介をする方式が対象になります。
モバイルアプリの配信をアプリストアで行うなどのケースが対象になると考えられます。
要件2:上記の提供を「特定プラットフォーム事業者」を介して行うこと
上記の「消費者向け電気通信利用役務の提供」を仲介するアプリストアやオンラインモールなどのデジタルプラットフォーム運営事業者が、日本の国税庁から「特定プラットフォーム事業者」として指定されている場合が対象になります。
指定の条件は、プラットフォームを介して行う、上記の「消費者向け電気通信利用役務の提供」にかかる売上高がその課税期間において50億円を超えることです。
指定の手順として、プラットフォーム事業者がまず50億円の判定を行い、超える場合には、その課税期間の消費税の申告期限までに「特定プラットフォーム事業者の指定届出書」を国税庁に提出し、国税庁が指定をします。
指定されたプラットフォーム事業者は、国税庁のホームページで公開されるとともに、プラットフォーム事業者から対象となる国外事業者に、プラットフォーム課税対象となる旨およびプラットフォーム課税の対象となる年月日(特定プラットフォーム事業者の指定の効力が生ずる日)を通知することとされています。
まとめ
消費税のプラットフォーム課税で何が変わるのかを解説しました。
今回の税制改正に伴い、プラットフォーム課税の詳細や影響についてご不明な点がありましたら、ぜひ当事務所にご相談ください。
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