【令和6年度税制改正】プラットフォーム課税とリバースチャージ方式の違い
2024.07.24
令和6年度税制改正により、プラットフォーム課税が導入されます。
プラットフォーム課税とは、国外事業者がプラットフォームを利用して日本の消費者向けにアプリ配信などを行った場合、その配信をプラットフォームが行ったとみなし、消費税の納税義務をプラットフォームに課す仕組みです。
ところが、国外事業者から日本向けのデジタルサービスには、すでに「リバースチャージ方式」という制度があり、リバースチャージ方式の対象になるものは、プラットフォーム課税の対象にはなりません。
今回は、プラットフォーム課税とリバースチャージ方式の適用範囲の違いを解説します。
外国の企業に日本の消費税の納税義務があるのか
プラットフォーム課税とリバースチャージ方式の違いを説明する前に、まずは外国の企業になぜ日本の消費税が課せられるのかを押さえておきましょう。
課税対象となる「国内取引」とは
日本の消費税の納税義務が生じる取引とは、国内において事業者が行った資産の譲渡・貸し付け・役務の提供と定められています。(消費税法第4条第1項)
このことから、日本の消費税の課税対象となる取引は、国内において行われる「国内取引」になります。
「国内取引」にあたるかどうかは、取引の形態ごとに内外判定を行います。
資産の譲渡や貸付けについては、一定の例外はありますが、原則としてその資産が所在していた場所で国内取引かどうかを判定します。
役務の提供の場合は、原則として、その役務の提供が行われた場所で、国内取引かどうかを判定します。
電気通信利用役務の提供の内外判定
ここで問題となるのが、インターネットを介して行われる役務の提供、例えば、電子書籍・音楽・広告配信などのサービスです。
この内外判定を「役務の提供が行われた場所」で行うと、日本企業から海外向けのサービスと海外企業から日本向けのサービスで、適切な課税が成立しなくなります。
そこで、平成27年度税制改正によって、「電気通信利用役務の提供」に係る内外判定基準が改められ、「役務の提供が行われた場所」ではなく「役務の提供を受ける者の住所等」で判定するように変更されました。
下図をご覧ください。
(画像出典)国税庁HP: 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について
注目は、図の「②」と「④」です。
国外事業者から国内事業者(②)に提供されるデジタルサービスと、国外事業者から日本の消費者(④)に提供されるデジタルサービスは、いずれも「役務の提供を受ける者の住所等」が日本であるため「国内取引」と判定されます。
つまり、「電気通信利用役務の提供」は日本向けに行われる場合、日本企業から行われた場合と海外企業から行われた場合の両方が、日本の消費税の課税対象になります。
プラットフォーム課税とリバースチャージ方式の違い
リバースチャージ方式の対象とは
リバースチャージ方式の対象取引とは、平成27年10月1日以後に行われる、国外事業者からの「電気通信利用役務の提供」のうち、日本の事業者向けに提供される取引です。
該当する場合、提供を受けた日本の事業者が「特定課税仕入れ」として、消費税の申告・納税を行います。
「事業者向け」かどうかは、サービスの性質や条件等から通常事業者に限られる取引のことであり、例えば広告の配信サービスなどが該当すると考えられます。
(画像出典)国税庁HP: 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について
プラットフォーム課税の対象とは
プラットフォーム課税の対象取引とは、令和7年4月1日以後に行われる、国外事業者からの「電気通信利用役務の提供」のうち、「特定プラットフォーム事業者」を介して日本の消費者向けに提供される取引です。
該当する場合、「特定プラットフォーム事業者」が、消費税の申告・納税を行います。
例えば、アプリストアを介したモバイルアプリの配信などが該当すると考えられます。
(画像出典)国税庁HP: 消費税のプラットフォーム課税について
プラットフォーム課税とリバースチャージ方式の違い
プラットフォーム課税とリバースチャージ方式はいずれも海外事業者からの「電気通信利用役務の提供」を対象としていますが、提供対象に違いがあります。
プラットフォーム課税は一定のプラットフォームを介した消費者向けサービスを対象とし、リバースチャージ方式は事業者向けサービスを対象としています。
まとめ
令和6年度税制改正により導入されるプラットフォーム課税と既存のリバースチャージ方式は適用範囲が異なります。
ご不明な点や詳細な相談が必要な場合は、お問い合わせください。
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