スポーツジムやヨガの費用は個人事業主の経費になる?
2024.08.7
個人事業主でも、ジムやヨガの費用を経費にできる場合があります。
「個人事業主は無理」などの情報もインターネット上にはありますが、税法のルール内で認められる分については堂々と経費にして構いません。
ただし、個人事業主がジムやヨガの費用を経費にする場合、法人とは異なる制約があります。
個人事業の経費の範囲
個人事業主の経費になるものには、売上原価、販売費及び一般管理費など、売上を生み出すためのさまざまな費用があります。
これは、会社の経費の範囲とほとんど変わりません。
ただし、個人事業主は、会社のように個人(経営者)と法人(会社)が別人格ではないため、経費になるかどうかの判定の前に「家事費」と「家事関連費のうち経費にあたらない部分」を除外する必要があります。
具体的には、個人の支出は経費・家事関連費・家事費の3つにおおむね分かれるものと考えて、このうち「家事費」はまったく経費にならず、「家事関連費」は事業部分が明確に区別できるのであればその分のみを経費にし、残りは家事費とします。こうして、プライベート色の濃い家事費は、「経費」から除外されるのです。
個人事業主と法人の経費の考え方の違い
会社の名義で支出される費用は基本的にすべて経費として扱われます。
その上で行き過ぎた節税の温床にならないように、給与課税を行ったり、その内容から経費にできる金額を減らしたりして事後的に調整します。(例:交際費課税、寄附金課税など)
これに対し、個人事業主の場合は、前述のとおり「家事費」や「家事関連費」のうち事業部分を明確に計算できない支出は、経費になりません。
家事費のフィルターを通過できた支出だけが、経費の判定に進むことができる仕組みになっています。
インターネット上には「〇〇の支払いは、〇〇をすれば『〇〇費』として経費にできます」という情報がたくさんあります。
役立つものもたくさんありますが、一般的にこうした情報の多くは経費の判定に進んだ後の話です。
その支払いの内容がその個人事業主にとって家事費と同視されるものであれば、いかに領収書をきれいに貼って整理しようが、複式簿記で記帳しようが、何をどう頑張っても経費にならないというのが個人事業主の税務なのです。
ジムやヨガの費用が個人事業の経費になるケース
ここまでの話を踏まえて、ジムやヨガの費用が個人事業主の経費になるケースを考えていきましょう。
ジムやヨガの費用が事業に欠かせない場合
スポーツジムやヨガを、その個人事業主が一般客として利用することが売上高を生み出すことに直結する場合、その利用料を経費にすることが可能です。
該当する業種は少ないかも知れませんが、もし「個人事業主だからダメ」というような断片的な情報を見て迷っている方がいれば、この基本的な考え方を知っておいていただければと思います。
ジムやヨガの費用が事業関係者の接待のためである場合
ジムやヨガの費用を取引先などの接待目的で負担した場合、接待をした個人事業主本人の分も含めた料金を「交際費」として経費にすることが可能です。
この場合、気をつけなければならないのは接待の相手が業務に直接関係する者でなければならないことにあります。
例えば、プライベートな友人とジムに行き、そこで仕事に関する情報を得たからといって交際費に計上しても、そのジムの費用に対する家事按分(事業部分と私的部分を分けること)は一般的に困難ですので、基本的には経費にできないと考えられます。
従業員を雇っていれば福利厚生費としてOK
従業員(家族以外の、一般の従業員)がいる場合、その福利厚生のためにジムやヨガの利用料を事業主が負担し、それを経費にすることは可能です。
ただし、従業員を雇っておらず、個人事業主や家族従業員のみの福利厚生とする場合は、自分や家族の健康増進のための「家事費」と扱われる可能性が高く、経費にしないことが一般的です。
また、福利厚生として導入する際は、次の点にも注意してください。
・全員がおおむね一律に利用できるルールにすること
・社会通念上一般的な金額であること
・利用しない者に金銭を代替支給しないこと
そうしないと、従業員個人への給与として扱われ、個人に課税されてしまう可能性があるためです。
まとめ
個人事業主も税法のルールの範囲内で、ジムやヨガの費用を経費にすることができます。
個人事業主として、税法のルールを理解し、正しく経費を計上することは非常に重要です。ジムやヨガの費用も適正な範囲であれば、経費に含めることができます。
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