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融資における保証料の勘定科目と仕訳方法を税理士が解説します 名古屋市北区で税理士なら三宅正一郎税理士事務所

三宅正一郎税理士事務所

税理士コラム

個人再生とは?手続きにかかる費用や依頼におすすめの事務所を徹底解説

個人再生とは?手続きにかかる費用や依頼におすすめの事務所を徹底解説

個人再生とは、裁判所を介して借金を最大10分の1まで減額し、原則3年間で分割返済する債務整理の手続きです。

自宅や自動車を手放さずに借金を大幅に圧縮できる点は、自己破産にはない大きな特徴といえます。

司法統計でも、物価高や金利上昇を背景に個人再生の申立てが再び増えつつあります。

その反面、手続きには裁判所への実費や個人再生委員の報酬など複数の費用が発生し、税務上の取扱いにも注意点があります。

そこで本記事では、個人再生の仕組みや費用、依頼におすすめの事務所まで順を追って解説します。

この記事からわかること
  • 個人再生の仕組みと2種類の手続き方法
  • 個人再生を利用できる条件と申立ての流れ
  • 手続きにかかる費用の総額と必要書類
  • 個人再生の税務上のポイントと注意点
  • 依頼におすすめの事務所5選と選び方

借金問題を抱えている人や個人再生の利用を検討している人、依頼先の選び方で迷っている人はぜひ参考にしてください。

監修
三宅正一郎
三宅正一郎税理士|三宅正一郎税理士事務所 代表名古屋市北区の税理士。法人・個人の税務顧問、会社設立、創業融資支援に幅広く対応。
この記事の内容
  1. 個人再生は借金を減額して分割で支払う債務整理の手続き
    1. 個人再生の基本的な仕組み
    2. 最低弁済額と清算価値保障の原則
    3. 小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類
    4. 他の債務整理との違い
    5. 統計データから見る個人再生の利用動向
  2. 個人再生を利用するための条件がある
    1. 個人再生を利用するための共通条件
    2. 給与所得者等再生の追加条件
    3. 申立て前にできるセルフチェックリスト
  3. 個人再生の手続きの流れ
    1. 申立てから完済までのタイムライン
    2. 個人再生委員が選任される場合・されない場合
    3. 申立てに必要な書類
  4. 個人再生の手続きにおすすめの事務所5選
    1. アヴァンス法務事務所は完済までサポートしてもらえる
    2. はたの法務事務所は利用者の満足度が高い
    3. 杉山事務所は債務整理の実績が豊富
    4. アディーレ法律事務所は全国65拠点を展開する弁護士法人
    5. グリーン司法書士法人はオンライン相談に対応した司法書士法人
  5. 個人再生の費用と減額試算例を確認しよう
    1. 裁判所に納める実費(印紙・官報・郵券)
    2. 個人再生委員報酬の標準額と地域差
    3. 弁護士・司法書士に依頼した場合の費用相場と総コスト比較
    4. 費用がまとまって用意できないときの対処法
    5. 借金額別の減額試算例
    6. 個別ケースで見る減額試算例
  6. 個人再生のメリット・デメリットと手続き後の生活再建
    1. 個人再生の4つのメリット
    2. 個人再生の3つのデメリット
    3. 手続き後の生活再建
  7. 個人再生に関する税務上のポイント
    1. 個人の場合の債務免除益と所得税の取扱い
    2. 個人事業主が個人再生をする場合の税務上の留意点
    3. 住宅ローン特則を利用したときの住宅ローン控除
    4. 税金・社会保険料は減額対象外
    5. 過払い金返還を受けた場合の税務上の取扱い
  8. 個人再生でよくある質問
  9. 個人再生は自宅を残して借金を大幅に減額できる手続き

個人再生は借金を減額して分割で支払う債務整理の手続き

個人再生とは、裁判所を介して借金を最大10分の1まで減額し、原則3年間の分割払いで返済する債務整理の手続きです。

民事再生法に基づく法的手続きで、自己破産のように財産を手放すことなく借金を大幅に圧縮できる点が特徴です。

まずは個人再生の基本的な仕組みから順番に解説していきます。

個人再生の基本的な仕組み

個人再生は債権者と裁判所が認めた再生計画に従って、減額された借金を分割で返済する制度です。

任意整理が将来利息のみを免除する手続きであるのに対し、個人再生は元本そのものを大幅に減額できる点が大きな違いです。

債務整理とは、借金の減額や免除によって返済の負担を軽くする法的・私的手続きの総称です。任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4種類があります。

減額後の返済期間は原則3年間ですが、特別な事情がある場合は最長5年まで延長できます。

返済期間中は将来利息や遅延損害金が発生しないため、減額された元本のみを支払えば済みます。

最低弁済額と清算価値保障の原則

借金総額と最低弁済基準額の対応

個人再生で借金がいくらまで減額されるかは、最低弁済額によって決まります。

最低弁済額とは、個人再生をした人が借金の減額後に支払う必要のある最低限の金額のことです。

最低弁済額は、最低弁済基準額と清算価値のうち多い方の金額が採用されます。

最低弁済基準額は借金の総額に応じて、民事再生法で以下のように定められています。

借金の総額と最低弁済基準額
借金の総額最低弁済基準額
100万円未満全額
100万円以上500万円以下100万円
500万円超え1500万円以下借金総額の5分の1
1500万円超え3000万円以下300万円
3000万円超え5000万円以下借金総額の10分の1

参照元:個人再生手続 – 裁判所

たとえば借金600万円の人なら120万円まで圧縮でき、3,000万円の人は300万円まで減額が可能です。

その反面、借金が100万円未満の場合は全額が最低弁済額となるため、減額の対象とはなりません。

もう1つの基準である清算価値保障の原則についても押さえておきましょう。

清算価値保障の原則とは、最低弁済額が、債権者に配当されるべき金額を下回ってはならないという決まりのことです。

清算価値とは、現在保有している財産の総額から、債務整理で処分しなくてよい財産を差し引いた金額のことです。

清算価値に計上される主な財産には、以下のようなものがあります。

  • 99万円を超える現金や預金
  • 解約返戻金が20万円を超える保険
  • 時価20万円を超える自動車
  • 不動産
  • 退職金見込額の8分の1相当額 など

たとえば借金600万円で清算価値が200万円ある場合を考えてみましょう。

最低弁済基準額120万円より清算価値200万円のほうが高いため、200万円が最低弁済額となります。

清算価値の計上基準は各裁判所によって運用が異なるため、申立先の裁判所の運用を確認することが大切です。

小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類

個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、申立て時にどちらかを選択します。

小規模個人再生は自営業者や小規模事業者向けの手続きですが、会社員でも利用が可能です。

給与所得者等再生は会社員のように安定した収入がある人を対象とした手続きとなります。

2つの手続きの主な特徴を以下の表にまとめました。

個人再生の手続きの種類
手続き方法特徴
小規模個人再生収入が安定していなくても利用できる
最低弁済額は最低弁済基準額または清算価値のうち多い方
債権者の過半数または債権額の2分の1超の反対があると再生計画が認められない
給与所得者等再生安定した収入が必要
最低弁済額は最低弁済基準額・清算価値・可処分所得2年分のうち最も多い金額
債権者の同意なしで利用できる

給与所得者等再生における可処分所得は、収入から税金や社会保険料を差し引いた手取り収入のことです。

実務上は最低弁済額が抑えられる小規模個人再生が選ばれるケースが圧倒的に多くなっています。

給与所得者等再生は、債権者の同意が得られない場合の選択肢として活用されています。

他の債務整理との違い

個人再生のほかに、債務整理には任意整理・特定調停・自己破産の3つの方法があります。

4種類の債務整理を主要な項目で比較すると、以下のとおりです。

債務整理の種類と詳細
手続き借金の減額幅裁判所関与財産処分資格制限費用相場期間
任意整理将来利息のみカットなしなしなし1社3〜10万円3〜6か月
特定調停将来利息のみカット
(多くの場合)
調停ありなしなし数千円〜数万円3〜4か月
個人再生元本を含めて
最大10分の1
あり一部清算価値に算入なし50〜70万円4〜8か月
自己破産原則全額免除あり一定以上の財産は処分あり30〜100万円3か月〜1年

※費用相場は専門家への報酬と裁判所への実費を含む概算です

借金の元本まで減額したい場合は個人再生、すべて免除したい場合は自己破産が選択肢となります。

利息カットで返済可能な見込みがあるなら任意整理、自分で手続きしたいなら特定調停が適しています。

任意整理との違い

任意整理は将来利息と遅延損害金のみをカットする手続きで、元金は減額されません。

裁判所を介さず債権者と直接交渉するため、手続き期間は3〜6か月程度と短く費用も抑えられます。

対象とする債権者を選択できる柔軟性もありますが、元本減額が必要なケースでは個人再生のほうが家計の負担を軽減できます。

任意整理の返済期間や成功のコツについては、任意整理の返済期間は何年が目安?取引期間が短い人でも成功するコツもあわせてご覧ください。

自己破産との違い

自己破産は、99万円以下の現金や20万円以下の財産(自由財産)を残し、それ以外を処分する代わりに借金の全額が免除される手続きです。

その反面、自宅や評価額の高い自動車は処分対象となり、税理士・公認会計士・宅地建物取引士などの資格制限も受けます。

個人再生は資格制限がなく、自宅を手放さずに借金の元本を減額できる点が大きな違いです。

加えて、自己破産にはギャンブル・浪費が原因の借金が認められない免責不許可事由がありますが、個人再生にはこの制限はありません。

自己破産の費用相場は、同時廃止で30〜50万円、管財事件で50〜100万円程度です。

自己破産で官報に掲載される期間や生活への影響については、自己破産が官報に掲載される期間はいつまで?削除の有無や生活への影響を徹底解説で詳しく解説しています。

特定調停との違い

特定調停は、本人が裁判所の調停委員を介して債権者と返済条件を話し合う制度です。

弁護士・司法書士への依頼が不要なため、費用は数千円〜数万円に抑えられます。

その反面、減額できるのは将来利息のみで元本は対象外です。債権者の合意がなければ調停が成立しない点にも注意が必要です。

借金の元本まで減額したい場合は、個人再生のほうが適しています。

統計データから見る個人再生の利用動向

続いて、個人再生の申立件数や再生計画認可率などの統計データから、利用動向を確認していきましょう。

個人再生の申立件数の推移
個人再生の申立件数の推移

※数字はすべて新受事件数

司法統計によると、令和5年(2023年)の個人再生申立件数は合計9,271件です。

内訳は小規模個人再生が8,552件で全体の92.2%、給与所得者等再生が719件で7.8%を占めています。

令和2年(2020年)の12,841件をピークに緩やかな減少を続けてきました。

その反面、月報速報では令和7年3月時点で前年同月比+7.2%と増加に転じる兆しが見えています。

背景にはコロナ関連支援策の終了や物価高による家計圧迫があり、住宅ローン特則付きの申立てが増加している点が特徴です。

参照元:最高裁判所事務総局『司法統計年報 令和5年 民事・行政編』表109、最高裁判所「月報速報 令和7年3月分 1.民事・行政事件」

主要5地裁の再生計画認可率

再生計画認可率とは、個人再生の手続が終わった事件のうち、再生計画が裁判所に認められた割合のことです。数字が高いほど、提出した計画が実際に通りやすいことを示します。

主要5地裁の例示値(令和5年=2023年)
地裁終了件数認可件数認可率
東京4,1623,86792.8%
大阪2,0311,91294.1%
名古屋1,2781,21795.2%
福岡98691793.0%
札幌74568191.4%

※司法統計年報R5【表109】から計算した参考値。端数処理の違いで0.1ポイントほど誤差が出る場合があります。

令和5年司法統計の参考値では、5地裁すべての認可率が9割を超えています。

地裁間の差は最大でも約4ポイントにとどまり、所在地よりも提出書類の整合性や家計再建計画の実現可能性が結果を左右するといえます。

正確な家計収支表や裏付け資料をそろえ、再生委員からの指摘へ的確に対応できれば、どの地域でも高い確率で認可を得られるでしょう。

弁済率の設定が認可に与える影響

弁済率とは、借金の元本をどの程度返済するかを示す割合のことです。

最低弁済基準ぎりぎりの低い弁済率を設定すると、裁判所が返済継続の見込みが薄いと判断する場合があります。

また小規模個人再生の場合は、債権者の過半数または債権額の2分の1を超える反対があると再生計画が認められません。

その反面、家計に無理のない範囲で基準よりわずかに高い弁済率を設定することが、計画認可への近道といえます。

収支予測の裏付け資料を丁寧に添付し、現実的な返済計画を作成することが重要です。

続いて、個人再生の手続きを利用するための条件について確認していきましょう。

個人再生を利用するための条件がある

個人再生はすべての人が利用できる手続きではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。

条件は小規模個人再生と給与所得者等再生に共通するものと、給与所得者等再生のみに追加される条件の2層構造です。

個人再生を利用するための共通条件

小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選ぶ場合でも、以下3つの条件を満たす必要があります。

  • 借金の総額が5,000万円以下である(住宅ローン・担保付債務などを除く)
  • 将来的に継続して収入を得られる見込みがある
  • 申立書に虚偽の記載や重大な漏れがなく、誠実性を満たしている

5,000万円という基準は、住宅ローンや別除権の対象となる担保付債務を除いた金額で計算します。

たとえば住宅ローン2,000万円と消費者金融からの借入500万円がある場合、個人再生の対象となるのは500万円のみです。

将来的な収入の見込みは、必ずしも会社員のような毎月一定額である必要はありません。

自営業者や個人事業主でも、平均的に再生計画を履行できる収入が見込めればよいとされています。

3つ目の誠実性とは、財産や債務の状況を正確に開示し、手続きに協力する姿勢のことを指します。

裁判例:未申告ローンがあっても誠実性を認め小規模個人再生開始を許可

債務者が組合ローンを申立書に記載し忘れていたものの、高裁は軽率なミスにとどまると評価し、誠実性要件を満たすとして開始決定を許可しました。書類に小さな不備があっても、迅速な訂正と正確な家計資料を示せば手続きに進める柔軟運用の好例といえます。

(名古屋高等裁判所 2004年8月16日決定・小規模個人再生開始決定即時抗告)

その反面、これは過失によるミスを救済した判例であり、財産の隠匿や虚偽申告などの故意の不誠実行為は厳しく判断されます。

給与所得者等再生の追加条件

給与所得者等再生を利用する場合は、共通条件に加えて以下2つの条件を満たす必要があります。

  • 収入が安定している(変動の幅が小さい)
  • 過去7年以内に自己破産・給与所得者等再生・ハードシップ免責を受けていない

収入の安定性とは、給与や年金など定期的な収入を得ており、その変動の幅が小さいことを指します。

実務上は、年収の変動が±20%以内に収まるかが目安とされています。

7年の制限については、過去に自己破産で免責を受けた場合や、給与所得者等再生・ハードシップ免責による免責決定を受けた場合が対象です。

その反面、過去に小規模個人再生や任意整理を行ったことがある人は、7年の制限を受けずに給与所得者等再生を利用できます。

給与所得者等再生は条件が厳しいため、実務では小規模個人再生が選ばれるケースが多くなっています。

申立て前にできるセルフチェックリスト

個人再生を申し立てる前に、以下の6項目をセルフチェックしてみましょう。

5項目以上が当てはまれば、裁判所が求める基本条件はおおむねクリアしていると考えられます。

個人再生のセルフチェック
Noチェック項目該当
1借金総額が5,000万円以下である(住宅ローン除く)□
2ここ3か月以上、給与・年金など安定した収入がある□
3税金・社会保険料に滞納がない□
4住宅ローン特則を使う場合、ローンの延滞が6か月未満□
5再生計画期間中(3〜5年)も継続して返済できる見通しがある□
6保証人がいる債務について連絡・同意が取れる見通しがある□

借金総額が基準内に収まっているか、安定した収入が続いているかは、再生計画の認可結果を左右する重要な項目です。

特に税金や社会保険料の滞納がある場合は、個人再生では減額対象とならないため注意が必要です。

滞納がある場合の取扱いについては、後述の税務に関する項目で詳しく解説します。

不安が残るときは、無料相談で弁護士や司法書士に判断してもらうと安心です。

続いて、個人再生の手続きの流れを順を追って確認していきましょう。

個人再生の手続きの流れ

個人再生は申立書を提出して終わる手続きではなく、開始決定や再生計画の認可までいくつもの段階を踏みます。

申立てから返済開始までの全体像、運用の違い、必要な書類について順に確認していきましょう。

申立てから完済までのタイムライン

書類作成から再生計画の認可確定までは、おおむね4〜6か月、長いと8か月ほどかかります。

下図は標準的な流れと期間の目安です。

個人再生手続きのタイムライン

※期間は管轄裁判所や債権者数によって前後します。

主要な8つのフェーズを時系列でまとめると以下の通りです。

個人再生の手続きステップ
ステップ内容期間目安
1弁護士・司法書士への相談と依頼(受任通知の送付)即日〜1週間
2必要書類の収集と申立書の作成1〜3か月
3裁判所への申立てと個人再生委員の選任数日〜2週間
4履行可能性テスト(実施する裁判所のみ)6か月程度
5再生手続開始決定申立てから約1か月
6債権届出と再生計画案の作成・提出3〜4か月程度
7書面決議または意見聴取提出から1か月程度
8認可決定の確定と返済開始(原則3年)認可から1か月で確定

※書類不備や債権者数が多い場合は、各ステップの期間が延びることがあります。

受任通知が送付されると、その時点から債権者からの催促が止まります。

申立人にとっては精神的な負担が大きく軽減されるため、生活を立て直す時間を確保できます。

その反面、書類収集や申立書作成には1〜3か月程度の準備期間が必要です。

収入証明や財産関連書類など必要なものを早めにそろえておくと、手続きを計画的に進められます。

個人再生委員が選任される場合・されない場合

個人再生の手続きでは、裁判所の運用に応じて個人再生委員が選任されるケースとされないケースがあります。

個人再生委員とは、民事再生法に基づき裁判所が必要と判断した場合に選任される、手続きの監督者のことです。

個人再生委員の主な役割は、以下の3つです。

  • 申立人の財産・収入・債務状況の調査
  • 再生計画案に対する指示・意見の提出
  • 書面決議の集計や履行可能性の判断
弁護士代理と本人申立て・司法書士依頼で運用が変わる

選任されるかどうかは、裁判所の運用と申立て方法によって変わります。

全国的な傾向として、弁護士代理の申立てでは個人再生委員が選任されないケースが多くなっています。

その反面、東京地裁では弁護士代理の場合でも全件選任されるなど、地裁ごとに運用が異なる点に注意が必要です。

司法書士は個人再生の申立代理権限を持たないため、裁判所では本人申立て扱いとなります。

そのため、東京地裁以外でも個人再生委員が選任される運用となるケースが一般的です。

弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきかの判断基準は、任意整理は司法書士と弁護士どちらに頼む?判断基準とおすすめ事務所を解説で詳しく解説しています。

履行可能性テストの仕組み

東京地裁などでは、申立人が再生計画案どおりに返済できるかを確認する履行可能性テストが実施されます。

具体的には、開始決定後の6か月程度にわたり、毎月予定弁済額を個人再生委員の指定口座に振り込む形式です。

テスト期間中に滞りなく支払えれば、計画通り返済を続けられる見込みがあると判断されます。

履行可能性テストで積み立てた金額は、最終的に再生計画認可後の弁済原資や再生委員報酬に充当されます。

個人再生委員報酬の費用負担

個人再生委員が選任されると、別途報酬を負担する必要があります。

金額は申立先の裁判所によって異なりますが、20〜30万円程度が標準的な水準です。

具体的な金額や地域差については、後述の費用解説で詳しく取り上げます。

申立てに必要な書類

個人再生の申立てには、本人確認書類から財産関連書類まで複数の書類を裁判所に提出する必要があります。

書類の不備や提出漏れは手続きの遅延を招くため、早めに準備を始めることが大切です。

個人再生の申立てで一般的に求められる書類を、6つのカテゴリーに分けて以下にまとめました。

必要書類の種類
カテゴリー主な書類主な取得先
本人確認書類戸籍謄本(または住民票記載事項証明書)、住民票市区町村役場
収入関連書類給与明細書(直近2〜3か月分)、源泉徴収票(直近2年分)、課税証明書、確定申告書の控え(個人事業主の場合)、青色申告決算書(個人事業主の場合)、年金証書・振込通知書(年金受給者の場合)勤務先・市区町村役場・税務署
財産関連書類預貯金通帳のコピー(過去2年分)、保険証券・解約返戻金額証明書、車検証、不動産登記事項証明書、退職金見込額証明書、有価証券残高証明書金融機関・保険会社・法務局・勤務先・証券会社
債権関連書類債権者一覧表、契約書、利用明細書、督促状、判決書(強制執行を受けている場合)債権者・本人保管
家計関連書類家計収支表(直近2〜3か月分)、賃貸借契約書(賃貸の場合)、公共料金の領収書、在学証明書(子の在学中の場合)本人作成・大家・保管書類
住宅ローン特則関連住宅ローン契約書、住宅ローン残高証明書、不動産登記事項証明書、住宅ローン返済予定表金融機関・法務局

※申立先の裁判所や個別の事情により、追加で必要な書類が発生する場合があります

債権者一覧表や陳述書、申立書本体は、弁護士・司法書士が作成を担当するケースが一般的です。

その反面、戸籍謄本や課税証明書などの公的書類は、申立人自身で取得する必要があります。

参考

個人事業主の場合は、確定申告書の控え(直近2〜3年分)に加えて青色申告決算書や帳簿類の提出を求められるケースが多くなっています。事業の収支状況を客観的に示せる資料を整えておきましょう。

書類によっては取得に1〜2週間以上かかるものもあるため、計画的な手配が重要となります。

主な書類の取得先と所要期間の目安は、以下の通りです。

書類取得の所要期間
書類取得先所要期間の目安
戸籍謄本本籍地の市区町村役場即日(窓口)/1〜2週間(郵送)
住民票・課税証明書居住地の市区町村役場即日
源泉徴収票勤務先数日〜1週間
退職金見込額証明書勤務先1〜2週間
不動産登記事項証明書法務局(オンライン請求も可)即日
住宅ローン残高証明書融資元の金融機関1〜2週間
保険の解約返戻金額証明書保険会社1〜2週間
勤務先に知られないよう取得方法を工夫する

退職金見込額証明書や源泉徴収票は勤務先の人事担当者を通じて発行されるため、職場に知られたくない場合は依頼の理由を工夫しましょう。

退職金見込額証明書については、就業規則で計算式を確認できる場合、規則のコピーで代用が認められるケースもあります。

本籍地が遠方の場合は早めに郵送請求する

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得するため、遠方の場合は郵送請求で往復1〜2週間かかります。

申立時期を逆算して早めに手配し、手数料分の定額小為替・本人確認書類のコピー・返信用封筒(切手貼付)を同封しましょう。

通帳の記帳は申立直前に済ませる

預貯金通帳のコピーは過去2年分の取引内容を提出するのが一般的なため、記帳が長期間行われていない通帳は申立直前にすべて記帳してからコピーを取りましょう。

合算記帳された場合は明細が裁判所で要求されるケースがあるため、こまめな記帳が望ましいといえます。

参考

個人再生を依頼した弁護士・司法書士からは、必要書類のチェックリストが提供されるのが一般的です。チェックリストに沿って計画的に準備を進めると、書類の漏れを防げます。

続いて、個人再生の手続きを依頼できるおすすめの事務所5選を紹介します。

個人再生の手続きにおすすめの事務所5選

以下に、個人再生の手続きに強い5事務所を比較表と詳細でまとめました。

事務所選びで重要なのが、弁護士と司法書士で代理できる範囲が異なる点です。

弁護士と司法書士の代理権限の違い

個人再生の申立てを代理できるのは弁護士のみで、司法書士は書類作成のサポートを行う立場となります。そのため司法書士に依頼する場合、裁判所では本人申立て扱いとなり、個人再生委員が選任されるケースが多い点に注意が必要です。

具体的な費用差や運用面の違いは、後述の費用解説で詳しく紹介します。

本記事では個人再生に強い5事務所を紹介しますが、債務整理全般の事務所を幅広く比較検討したい方は、債務整理おすすめ|費用が安い弁護士・司法書士事務所を比較もあわせてご参照ください。

紹介事務所の比較
事務所名アヴァンス法務事務所はたの法務事務所司法書士法人
杉山事務所
アディーレ
法律事務所
グリーン
司法書士法人
業態司法書士法人司法書士法人司法書士法人弁護士法人司法書士法人
実績※134万件以上20万件以上10,000件以上64万件10,829件以上
相談料無料無料無料無料無料
全国相談受付◯◯◯◯◯
個人再生の費用※2住宅ローン特則なし
着手金:385,000円
減額報酬金:11%
実費:50,000円程度
住宅ローン特則あり
着手金:440,000円
減額報酬金:11%
実費:50,000円程度
報酬:385,000円~
※再生委員に支払う費用+220,000円~
住宅ローン特則なし440,000円
住宅ローン特則あり550,000円
事務所がある都道府県から申立
基本費用:550,000円
申立事務手数料:55,000円

事務所がない都道府県から申立
基本費用:605,000円
申立事務手数料:55,000円
住宅ローンなし:330,000円~
住宅ローン特例計画案付:+55,000円~
※2社以上の場合は1社ごとに22,000円追加
事務所の数214655
主な特徴女性相談窓口あり
手続き進捗をWEBで確認可
何度でも相談無料
利用者の満足度95.2%
出張相談あり
年中無休
拠点数65カ所
分割払い対応
着手金0円※3
オンライン相談対応

※1:相談実績を含む
※2:すべて税込価格、別途実費が必要となる場合があります
※3:着手金0円の適用には条件があります。詳細は各事務所の料金表をご確認ください

いずれも債務整理を中心に扱う事務所のため、個人再生の知識と実績が豊富にあります。

5社とも相談料は無料で、複数の事務所に相談したうえで依頼先を決めることも可能です。

その反面、業態や費用、対応エリアには違いがあるため、自分の状況に合った事務所を選ぶことが大切です。

次から、各事務所の特徴を1社ずつ詳しく解説していきます。

アヴァンス法務事務所は完済までサポートしてもらえる

アヴァンス法務事務所は完済までサポートしてもらえる
着手金減額報酬金実費
385,000円~11%50,000円程度
相談料分割払い―
無料可―
女性専用ダイヤル・窓口あり

アヴァンス法務事務所は2007年設立の司法書士法人で、累計で34万件以上の相談実績があります。

※2023年3月末現在

認定司法書士による、債務整理後の生活を見据えた手続き提案が受けられます。

事務所は東京本店と大阪事務センターの2拠点で、電話やオンラインで全国からの相談を受け付けています。

個人再生の費用は分割払いが可能なため、契約時に相談してみるとよいでしょう。

※司法書士法人のため、個人再生の申立代理は弁護士のみが行えます。アヴァンス法務事務所では書類作成業務として手続きをサポートします。

事務所概要
業態司法書士法人
個人再生にかかる費用住宅ローン特則なし
着手金:385,000円
減額報酬金:11%
実費:50,000円程度
住宅ローン特則あり
着手金:440,000円
減額報酬金:11%
実費:50,000円程度
相談料無料
事務所の数2ヶ所
電話番号全国無料相談ダイヤル:0120-964-564
女性専用ダイヤル:0120-964-664
受付時間【東京本店】
平日 9:30~18:00 ※時間外要相談
【大阪事務センター】
平日 9:30~21:00/土日祝 10:00~18:00

※すべて税込価格

完済までの支払い管理を代行してもらえる

アヴァンス法務事務所には、借金を完済するまでサポートを受けられるアヴァンス・アシストというサービスがあります。

個人再生後に債権者への返済を代行・管理するサービスで、約9割の利用者が加入しています。

本人に代わって事務所が債権者とやりとりするため、手続き後の精神的・事務的な負担を軽減できます。

手続きの進捗状況をいつでも確認できる

アヴァンス・ネクストは、WEB上で手続きの進捗や債権者への支払い状況を把握できるシステムです。

パソコンやスマホから24時間利用できるため、隙間時間で状況を確認できます。

女性スタッフが対応する専用窓口がある

アヴァンス・レディースは、女性スタッフが電話とメールで対応する女性専用の相談窓口です。

異性に借金問題を相談しにくいと感じる人に向いています。

はたの法務事務所は利用者の満足度が高い

はたの法務事務所は利用者の満足度が高い
報酬再生委員費用分割払い
385,000円~+220,000円~可
相談料出張相談―
無料無料―
全国出張相談あり

はたの法務事務所は、利用者の満足度が95.2%と高い水準を誇る司法書士法人です。

司法書士歴40年以上のベテランが在籍しており、相談実績は50万件以上あります。

事務所は東京1拠点ですが、出張相談や電話・オンラインで全国からの依頼を受け付けています。

※司法書士法人のため、個人再生の申立代理は弁護士のみが行えます。はたの法務事務所では書類作成業務として手続きをサポートします。

事務所概要
業態司法書士法人
相談料無料
個人再生にかかる費用385,000円〜
再生委員に支払う費用+220,000円〜
事務所の数1ヶ所
無料相談ダイヤル0120-963-164
受付時間平日 8:30~21:30
土日祝 8:30~21:00

※すべて税込価格

何度でも相談料・着手金無料で利用できる

はたの法務事務所は、何度相談しても相談料がかかりません。

着手金や出張費も無料のため、初期費用を抑えて個人再生の手続きを依頼できます。

費用については、契約時に報酬内訳書による詳しい説明を受けられます。

その反面、再生委員に支払う費用は別途発生するため、総額の見積もりを契約前に確認しておきましょう。

出張相談と分割払いに対応している

事務所は東京のみですが、遠方の人も出張相談で対応してもらえます。

費用の分割払いにも対応しており、契約時にまとまった現金がなくても依頼できる体制です。

問い合わせ方法は電話とメール相談があり、メールは24時間受け付けています。

杉山事務所は債務整理の実績が豊富

杉山事務所は債務整理の実績が豊富
報酬分割払い―
440,000円~可―
相談料出張相談―
無料無料―
相談実績月間10,000件以上※過払い金・債務整理を含む借金問題

杉山事務所は、過払い金請求と債務整理の実績が豊富な司法書士法人です。

毎月10,000件を超える相談実績があり、全国4拠点で対応しています。

※過払い金・債務整理を含む借金問題の相談件数

※司法書士法人のため、個人再生の申立代理は弁護士のみが行えます。杉山事務所では書類作成業務として手続きをサポートします。

事務所概要
業態司法書士法人
相談料無料
個人再生にかかる費用※1住宅ローン特則なし 報酬:440,000円
住宅ローン特則あり 報酬:550,000円
事務所の数4ヶ所

※すべて税込価格
※1:印紙代等の実費が別途必要。再生委員が選任された場合は、裁判所に納める費用も別途発生します

4拠点で年中無休の相談対応

事務所は東京・大阪・福岡・札幌事務所の4拠点に展開しています。

全事務所が年中無休で、9時から19時まで相談を受け付けています。

遠方の場合は出張相談にも対応しており、出張費は無料です。

初回の相談は非通知や匿名でも可能なため、まずは気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

アディーレ法律事務所は全国65拠点を展開する弁護士法人

アディーレ法律事務所は全国65拠点を展開する弁護士法人
基本費用再生委員費用申立事務手数料
550,000円~+150,000円55,000円
相談料分割払い―
無料可―
返金保証制度(90日以内)あり

アディーレ法律事務所は、全国に65拠点を展開する弁護士法人です。

債務整理の相談実績は64万件にのぼり、215名以上の弁護士が在籍しています。

36都道府県に拠点があるため、対面で相談しやすい立地が見つかりやすい点が特徴です。

弁護士法人のため、個人再生の申立代理が可能です。東京地裁以外では個人再生委員が選任されないケースも多く、再生委員報酬の負担を抑えられる場合があります。

事務所概要
業態弁護士法人
個人再生にかかる費用※1事務所がある都道府県から申立する場合
基本費用:550,000円
申立事務手数料:55,000円

事務所がない都道府県から申立する場合
基本費用:605,000円
申立事務手数料:55,000円
相談料無料
事務所の数65拠点※2
電話番号0120-316-742
受付時間9:00~22:00

※すべて税込価格
※1:再生委員が選任された場合、再生委員報酬が別途必要(申立地域により異なる)
※2:アディーレ法律事務所とAdIre法律事務所の合計数

最大10回の分割払いと返金保証で気軽に相談できる

相談は何度でも無料のため、納得いくまで弁護士に話を聞けます。

個人再生にかかる費用は、最大10回の分割払いに対応しています。

無料相談は電話またはWEBフォームから受け付けており、9時から22時まで対応しています。

依頼から90日以内に契約解除を希望した場合は、返金保証として基本費用が全額返金されます。

その反面、返金には申告とアンケート回答が条件となるため、契約前に内容を確認しておきましょう。

24時間いつでも進捗状況を確認できる

アディーレダイレクトは、自分で債務整理の進捗状況を確認できるシステムです。

パソコンやスマホからお客様番号とパスワードを入力してログインすると、手続きの進捗を確認できます。

手数料は無料で、24時間いつでも利用が可能です。

グリーン司法書士法人はオンライン相談に対応した司法書士法人

グリーン司法書士法人はオンライン相談に対応した司法書士法人
着手金基本料金―
0円330,000円~―
相談料――
無料――
土日祝日対応

グリーン司法書士法人は、全国5拠点を展開する司法書士法人です。

任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理全般に対応し、相談実績は10,829件以上あります。

電話やオンライン面談で自宅から相談ができ、平日だけでなく土日祝も対応しています。

※司法書士法人のため、個人再生の申立代理は弁護士のみが行えます。グリーン司法書士法人では書類作成業務として手続きをサポートします。

事務所概要
業態司法書士法人
相談料無料
個人再生にかかる費用住宅ローンなし:330,000円~
住宅ローン特例計画案付:+55,000円~
事務所の数5ヶ所
電話番号0120-797-031
受付時間平日 9:00~20:00
土日祝 9:00~18:00

※すべて税込価格
※過払い金が発生していた場合、別途過払い金の報酬がかかります
※別途実費等が必要となります
※具体的な事情により必要経費が変わる場合があるため、無料相談で確認してください

着手金0円で初期費用を抑えられる

グリーン司法書士法人は相談料に加えて、着手金が0円で利用できます。

※着手金0円の適用には条件があります。詳細は無料相談で確認してください

その反面、債権者が1社増えるごとに22,000円の追加費用がかかるため、複数社から借入がある場合は総額が上がります。

無料相談で見積もりを取ったうえで、契約するかどうかを判断するとよいでしょう。

問い合わせ方法は3種類から選べる

問い合わせ方法は、以下の3つから選択できます。

  • 電話:テレビ会議も可能なため、自宅で対面形式の相談ができます。
  • WEBフォーム:司法書士が多数在籍しているため、WEBフォームからの問い合わせは2営業日以内に返信を受けられます。
  • LINE:公式サイトのQRコードを読み取り、LINEで友だち登録するとトーク画面でやりとりできます。

ここまで5事務所の特徴を解説しました。

それぞれ強みが異なるため、自分の状況や優先したい点をもとに依頼先を絞り込んでいきましょう。

続いて、個人再生にかかる費用について確認していきましょう。

個人再生の費用と減額試算例を確認しよう

個人再生にかかる費用は、裁判所に納める実費・個人再生委員への報酬・専門家への報酬の3つで構成されます。

地域や依頼方法によって合計額が変わるうえ、借金額に応じた減額後の返済イメージも事前に把握しておくことが大切です。

本章では、費用の内訳と減額試算例を順番に確認していきます。

裁判所に納める実費(印紙・官報・郵券)

個人再生を始めるとき、まず支払うのが裁判所へ直接納める実費です。

弁護士報酬や個人再生委員報酬とは別枠で、どの地域でもほぼ共通の金額が定められています。

実費の種類と費用目安
費用の種類費用の目安用途
収入印紙10,000円申立書に貼付。訴訟でいう手数料にあたる固定額
官報公告費約14,000円手続開始決定や認可決定を官報に掲載する費用
郵券(切手)約4,000円裁判所が債権者に書類を送付する郵送料

※郵券は債権者数が多いほど追加購入が必要になります。東京地裁の場合、債権者20社程度で3,500〜4,000円が目安です。

参照元:東京地裁 民事第20部 Q&A「個人再生の申立てにかかる費用」ー裁判所

これらの費用は申立書を提出する当日または直後に、現金や収入印紙の形で一括納付します。

分割や減免は原則できないため、事前に現金で準備しておきましょう。

実費だけで合計2万5,000円前後となるイメージです。

個人再生委員報酬の標準額と地域差

個人再生委員が選任される場合、申立人があらかじめ報酬を予納する必要があります。

金額は各地裁が定める標準額に従うため、地域や申立て方法によって差があります。

主な裁判所での標準額をまとめると、以下の通りです。

主な裁判所別の標準額
裁判所個人再生委員報酬弁護士代理時の運用
東京地裁15〜25万円弁護士代理:15万円/本人申立て・司法書士依頼:25万円
大阪地裁約30万円弁護士代理時は原則非選任
名古屋地裁約25万円弁護士代理時は原則非選任
仙台地裁ほか地方約20万円弁護士代理時は原則非選任

※すべて税込表示。金額は申立時期や個別事情で変動するため、最新の運用は申立て予定の裁判所で確認してください

参照元:大阪地方裁判所 第6民事部(倒産部)ー裁判所、個人再生手続きについてー名古屋地方裁判所、「個人再生手続利用にあたって」ー仙台地方裁判所

弁護士代理の場合、東京以外の地裁では個人再生委員が選任されないケースが多く、報酬の負担を抑えられます。

その反面、司法書士依頼や本人申立ての場合は本人申立て扱いとなるため、選任されるのが一般的です。

申立て前に所在地の運用を確認しておくと、必要な予算の見通しが立てられます。

弁護士・司法書士に依頼した場合の費用相場と総コスト比較

個人再生に必要な費用は、裁判所への実費と専門家への報酬の合計で決まります。

自分で申し立てる場合と専門家に依頼する場合の概算を比較してみましょう。

金額は標準的な目安で、債権者数や住宅ローン特則の有無によって変動します。

申し立て別の費用比較
区分実費個人再生委員報酬専門家報酬※税込概算合計
本人申立て約2.5万円25万円0円約27.5万円
司法書士依頼約2.5万円25万円38.5万円〜約66万円〜
弁護士依頼(東京地裁)約2.5万円15万円41.8万円〜約59.3万円〜
弁護士依頼(その他地裁)約2.5万円0円〜41.8万円〜約44.3万円〜

※東京地裁をモデルにした目安です。地方の裁判所では弁護士代理の場合、個人再生委員が選任されないケースが多くなっています
※着手金ゼロ・報酬後払い型の事務所もあるため、実際の支払時期や分割可否は必ず見積もりで確認してください

初期費用だけを見ると本人申立てが最も安価です。

その反面、書類不備や期日対応の負担が大きく、やり直しでかえって時間と費用が膨らむこともあります。

地方の裁判所で弁護士に依頼すると、個人再生委員が選任されないことから総額を抑えられる可能性があります。

専門家に依頼する場合は、個人再生委員報酬の有無や分割払いの可否を確認しておきましょう。

債務整理全般の弁護士費用の相場と内訳は、債務整理の弁護士費用はいくら?手続き別の相場と内訳をわかりやすく解説で網羅的にまとめています。

費用がまとまって用意できないときの対処法

個人再生にかかる費用がまとまって用意できない場合でも、以下の3つの対処法があります。

法テラスの民事法律扶助制度を利用する

法テラス(日本司法支援センター)は、収入や資産が一定基準以下の人を対象に、弁護士・司法書士費用の立替えと無料法律相談を提供する公的機関です。

立替えた費用は月額5,000円〜10,000円程度の分割で法テラスに返済する仕組みで、生活保護を受給している人は最終的な費用負担が免除されるケースもあります。

その反面、利用には収入や資産の要件があり、勝訴の見込みも審査されるため、収入要件の詳細や利用方法は法テラス公式サイトで確認してください。

参照元:日本司法支援センター 法テラス

専門家事務所の分割払いを利用する

多くの弁護士・司法書士事務所では、依頼費用の分割払いに対応しています。

分割回数は3回から12回程度が一般的で、受任通知の発送後は債権者への返済が一時的に止まるため、その間に費用を積み立てられる事務所も少なくありません。

着手金を後払いにできる事務所もあるため、契約時に支払スケジュールを相談してみましょう。

過払い金返還を費用に充当する

過払い金が発生している場合、返還金を個人再生の費用に充当する方法があります。

過払い金は2010年6月以前の借入で発生する可能性があり、申立て前に過払い金請求を行えば、回収金で費用をまかなえれば自己負担を大きく減らせます。

その反面、過払い金請求には別途報酬がかかるため、回収可能額と費用のバランスを確認しておきましょう。

借金額別の減額試算例

借金額別の減額シミュレーション

個人再生で借金がどこまで減額されるかは、最低弁済基準額をもとに計算されます。

代表的な借金額に応じた減額後の総額と月々の返済額をまとめると、以下の通りです。

借金総額別の返済額例
借金総額最低弁済基準額月々の返済額(3年)月々の返済額(5年)
200万円100万円約27,800円約16,700円
500万円100万円約27,800円約16,700円
600万円120万円約33,400円約20,000円
1,000万円200万円約55,600円約33,400円
1,500万円300万円約83,400円約50,000円
2,000万円300万円約83,400円約50,000円
3,000万円300万円約83,400円約50,000円
4,000万円400万円約111,200円約66,700円

※最低弁済基準額をもとにした計算です
※実際の最低弁済額は、清算価値(保有財産の評価額)と最低弁済基準額のうち多い方が採用されます
※給与所得者等再生では、可処分所得2年分との比較も加わります

借金が500万円以下の場合、最低弁済額は100万円となり、最大で8割の減額が可能です。

借金1,000万円なら月々約55,600円、3年で完済できる計算になります。

その反面、清算価値が最低弁済基準額を上回る場合は、清算価値の額が最低弁済額として採用されます。

自動車や保険の解約返戻金など、財産の評価額によって弁済額が増える可能性がある点に注意が必要です。

再生計画の返済期間は原則3年間で、特別な事情がある場合は最長5年まで延長できます。

月々の返済額は、最低弁済額を返済期間(月数)で割ったシンプルな計算で求められます。

計算式

月々の返済額 = 最低弁済額 ÷ 返済期間(3年なら36か月、5年なら60か月)
例:100万円 ÷ 36か月=約27,800円/100万円 ÷ 60か月=約16,700円

5年への延長が認められる代表的なケースは、以下のとおりです。

  • 病気や介護で収入が減少している
  • 子の教育費でまとまった支出が必要となる時期がある
  • 3年返済では月々の生活が成り立たない収支状況にある

5年に延長すると、月々の返済額を約4割下げられるため、家計に余裕を持って返済を続けられます。

その反面、再生計画認可から完済まで5年かかると、信用情報の事故情報が残る期間も延びる点に留意が必要です。

個別ケースで見る減額試算例

借金額や状況によって、個人再生で軽減できる負担は大きく変わります。

代表的な3つのケースで具体的に見ていきましょう。

借金額が400万円前後の方は、借金400万円を返済する5つの方法!かかる利息や債務整理についても解説もあわせてご覧ください。

ケース1:借金300万円の会社員
借金総額300万円(消費者金融3社)
個人再生後の弁済額100万円
月々の返済額(3年)約27,800円
任意整理を選んだ場合月々約83,400円(元金300万円÷36か月)

消費者金融3社から総額300万円の借入があるケースです。

任意整理を選ぶと将来利息はカットされても、元金300万円を約3年で返済する必要があります。

個人再生なら100万円まで圧縮でき、月々約27,800円で完済できる計算です。

任意整理と比べて、月々の返済負担を約3分の1に軽減できます。

ケース2:住宅ローンを抱える会社員(借金1,500万円)
借金総額住宅ローン2,500万円+消費者金融など1,500万円
個人再生後の弁済額1,500万円→300万円(住宅ローン特則利用)
月々の返済額(3年)約83,400円+住宅ローンは従来通り返済継続
自宅の取扱い手放さずに住み続けられる

住宅ローンとは別に、消費者金融などから1,500万円の借金を抱えるケースです。

住宅ローン特則を利用すれば、自宅を手放さずに1,500万円の借金を300万円まで減額できます。

住宅ローンは個人再生の対象外となるため、これまで通りの返済を続けながら住宅を維持できる仕組みです。

ケース3:借金800万円の個人事業主
借金総額800万円(事業性融資・カードローン)
個人再生後の弁済額160万円
月々の返済額(3年)約44,500円
月々の返済額(5年に延長した場合)約26,700円

事業性融資とカードローンで総額800万円の借金がある個人事業主のケースです。

個人再生で800万円が160万円まで減額され、月々約44,500円・3年返済が基本となります。

売上に波があり3年返済が厳しい場合は、5年への延長で月々約26,700円まで抑えられます。

事業継続のために借金を圧縮しつつ、無理のない返済計画を組める点が個人再生の利点です。

具体的な減額額や月額は、財産・収入・債権者数によって変動します。正確な金額は、無料相談で専門家に試算してもらうとよいでしょう。

続いて、個人再生のメリットとデメリットを順に確認していきましょう。

個人再生のメリット・デメリットと手続き後の生活再建

個人再生のメリット・デメリット

個人再生は借金を大幅に減額できる強力な手続きですが、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。

加えて、手続き後の生活再建についてもあらかじめ把握しておくと、スムーズに完済へと向かえます。

個人再生の4つのメリット

個人再生は借金を大幅に減額できるだけでなく、自宅や自動車などの財産を手元に残せる点も大きな魅力です。

  • 住宅ローン特則で自宅を手放さずに済む
  • 借金の元本を大幅に減額できる
  • 条件を満たせば自動車を手元に残せる
  • 受任通知で債権者からの催促が止まる
住宅ローン特則で自宅を手放さずに済む

住宅ローン特則を利用すれば、自宅を手放さずに住み続けられます。

住宅ローン特則とは、住宅ローンを今まで通り返済する代わりに、自宅の処分を避けられる制度のことです。

民事再生法における正式名称は、住宅資金特別条項といいます。

住宅ローン特則を利用するための条件は、以下の4つです。

住宅ローン特則の利用条件
  • 申立人が個人で所有している住宅であること
  • 建物の床面積の2分の1以上が居住用として使われていること
  • 住宅の購入やリフォームのために借りたローンであること
  • 住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと

上記の条件をすべて満たさない場合、個人再生は利用できても自宅は手放す必要があります。

法人が所有している不動産や、事業資金確保のために抵当権が設定されている不動産は対象外となります。

借金の元本を大幅に減額できる

個人再生では将来利息のカットだけでなく、元本そのものを最大10分の1まで減額できます。

再生計画認可後の返済期間は原則3年間で、返済中は将来利息や遅延損害金もかかりません。

任意整理が将来利息のカットのみであるのに対し、個人再生は元本減額が可能なため、家計への負担を大きく軽減できる点が大きな違いです。

条件を満たせば自動車を手元に残せる

自動車も、条件を満たせば手元に残せる場合があります。

以下のいずれかに該当する場合、自動車を処分せずに済みます。

  • 自動車のローンを完済済みである
  • 申立人が自動車の所有権を持っている

自動車の所有権を申立人が持っている場合は、ローンが残っていても手放さずに済みます。

ディーラーや提携の信販会社のローンには、所有権留保が付いているケースが一般的です。

所有権留保とは、物品を分割払いで販売する際に、代金の支払いが完了するまで所有権を売主側に留めておく契約形態のことです。

所有権留保があるローンの返済中に個人再生をすると、自動車は信販会社などに引き揚げられる可能性があります。

その反面、銀行や保険会社の自動車ローンは所有権留保がないため、返済中でも自動車を手元に残せます。

ただし評価額が高い自動車を残すと清算価値が増え、最低弁済額が上がる可能性がある点には注意しましょう。

裁判例:所有権留保付き自動車を手放さず再生計画に組み込めたケース

販売会社名義で所有権留保が付いた自動車について、債務者が再生手続きに組み入れる余地を肯定した最高裁判決です。裁判所は弁済計画どおりに履行される見込みがあれば、別除権の即時行使を制限できると判示し、車の引揚げを認めませんでした。住宅ローン特則と同様に、生活必需品を保持しつつ返済を続けられる可能性を示す代表例です。

(最高裁第二小法廷 2010年6月4日判決・所有権留保自動車別除権行使の可否)

受任通知で債権者からの催促が止まる

弁護士や司法書士に依頼すると、債権者に受任通知が送付されて催促が止まります。

受任通知とは、債務整理の依頼を受けた弁護士・司法書士が、代理人になった旨を債権者に伝える通知のことです。受任通知を受け取った債権者は、債務者に直接連絡することが法律で禁止されます。

参照元:貸金業法ーe-Gov法令検索、債権管理回収業に関する特別措置法ーe-Gov法令検索

受任通知の発送後は、債権者からの電話や郵便による直接の連絡が法律で禁止されます。

返済も個人再生手続開始までストップするため、生活を立て直すための時間と資金を確保できます。

最短で当日中に受任通知が発送されるため、催促のストップと返済の一時停止により精神的な負担が大きく軽減されます。

個人再生の3つのデメリット

事前にデメリットを正しく理解しておくことで、後悔のない選択につながります。

  • 信用情報に事故情報が一定期間登録される
  • 個人再生の事実が官報に掲載される
  • 保証人・連帯保証人に返済が求められる
信用情報に事故情報が一定期間登録される

個人再生をすると信用情報に事故情報が登録されるため、一定期間はクレジットカードや新規借入の利用ができません。

信用情報とは、クレジットカードやローンの申し込み・契約に関する客観的な取引事実を登録した情報のことです。

現在利用しているクレジットカードは、債務整理を受任した事実がカード会社に伝わると強制解約される可能性があります。

カード会社は定期的に途上与信を行っているため、使わずに保有しているカードも利用できなくなる場合があります。

事故情報が登録されると審査に通過できなくなるため、新規の借入も困難となります。

信用情報に事故情報が登録される期間は、以下が目安となります。

各信用情報機関と登録期間
信用情報機関登録される期間
株式会社シー・アイ・シー(CIC)5年
株式会社日本信用情報機構(JICC)5年
全国銀行個人信用情報センター(KSC)7年

参照元:CICが保有する信用情報ーCIC、信用情報の内容と登録期間ーJICC、センターの概要ー全国銀行個人信用情報センター

全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、裁判所の決定が官報に掲載された事実を、決定日から7年間記録します。

CIC・JICCの5年より長い点に注意が必要です。

参考

個人再生は再生計画の認可後、原則3年で借金を返済します。完済から5年経過するまで事故情報が残るため、申立てから事故情報の解除までは約8〜9年が目安となります。

その反面、デビットカードはカードの支払いと同時に銀行口座から引き落とされる仕組みのため、個人再生後も引き続き利用できます。

信用情報に事故情報が登録されると生活にどう影響するかは、債務整理の実行はブラックリスト掲載の原因!生活への影響を解説で詳しくまとめています。

官報に氏名と住所が掲載される

個人再生の手続きをすると、官報に個人再生の事実とともに氏名・住所が掲載されます。

官報は政府が発行する機関紙で、国の法令や公示事項を国民に知らせる役割を果たすものです。

インターネット版官報では、直近90日分が無料で閲覧できる仕組みになっています。

参照元:インターネット版官報ー国立印刷局

官報の掲載期間や、過去記事が検索エンジンに残るかなどの詳細は、自己破産が官報に掲載される期間はいつまで?削除の有無や生活への影響を徹底解説を参照してください。

官報に掲載されるタイミングは、以下の3回です。

  • 再生手続開始決定が出されたとき
  • 再生計画案の書面決議または意見聴取のとき
  • 再生計画の認可決定が出されたとき

職業によっては、官報を日常的に確認しているケースもあります。

官報を見る可能性がある職業の具体例は、以下のとおりです。

  • 不動産会社の社員
  • 生命保険会社の社員
  • 警備会社の社員
  • 税務署の職員
  • 弁護士・司法書士 など

その反面、一般の人が官報を目にする機会は少ないため、周囲の人に知られる可能性は低いといえます。

保証人や連帯保証人に借金の返済を求められる

借金に保証人や連帯保証人を設定している場合、個人再生によって債権者から保証人に返済を求められます。

民法における保証人の種類と責任の違いは、以下の通りです。

保証人の種類と責任の違い
保証人の種類責任の度合い
保証人債務者が債務を履行しない場合に責任を負う
連帯保証人保証人と同様に責任を負うが、保証人よりも責任が重い

参照元:保証人ー内閣府

個人再生で申立人の借金が減額されても、保証人や連帯保証人は減額の効力を受けません。

特に連帯保証人は責任が重く、個人再生の手続き後は債権者から残債務の一括返済を求められるケースが一般的です。

借金の肩代わりにより、保証人・連帯保証人に大きな経済的負担がかかります。

事前に保証人と話し合い、返済方法や分割和解の方向性を相談しておくことが大切です。

裁判例:身内債権で議決権を操作した申立ては不当目的として棄却

債権総額の6割超を親族名義債権で占め、反対債権者を排除しようとしたケースで、高裁は再生手続を形骸化させる不当目的と判断し、開始決定を取り消しました。意図的な債権操作は手続き全体を失敗させるリスクが高いことを示す警告的判例です。

(札幌高等裁判所 2003年8月12日決定・再生手続開始決定抗告棄却)

手続き後の生活再建

個人再生が認可された後は、減額された借金を返済しつつ家計を立て直し、信用情報を回復させていく段階に入ります。

ここでは黒字家計へ戻すための3つの実践策と、事故情報の登録期間後にクレジット機能を取り戻す手順を解説します。

黒字家計に戻すための3ステップ

家計を赤字から黒字へ転換するには、次の3段階で進めると無理なく続けられます。

アプリが苦手な人は、紙の家計簿ノートや封筒分けでも同じ手順で実践できます。

STEP1
固定費の削減

家賃の見直しや通信プランの変更で、毎月の出費をまず5〜10%圧縮します。保険料の見直しや使っていないサブスクの解約も効果的です。

STEP2
支出の可視化

MoneyForward MEやZaimなど、銀行・カード・電子マネーを自動連携できるアプリを使い、週単位で収支を確認します。アプリ以外の方法では、市販の家計簿にレシートを貼り、封筒分けで食費や日用品の支出を把握する方法も有効です。個人事業主は同じデータを確定申告書の作成にも活用できるため、日々の記帳を続けると年末の負担が大きく減ります。

STEP3
先取り貯蓄と積立

給与日の翌日に1〜2万円を積立口座へ自動振替するか、封筒を貯蓄用に分けて手を付けない仕組みを作りましょう。個人事業主の場合は、小規模企業共済やiDeCoなどの税制優遇制度の活用も検討できます。

この3ステップを実行し、黒字が3か月続けば再生計画の返済も安定して継続できます。

その反面、思わぬ収入減で計画通りの返済が難しくなった場合は、早めに弁護士や司法書士に相談しましょう。

民事再生法第234条に基づく再生計画の変更で、返済期間を最長5年まで延長できる可能性があります。

事故情報登録期間後のクレジット回復ロードマップ

個人再生を完済すると、CIC・JICCの事故情報は5年経過後に削除されます。

KSCは裁判所の決定が官報に掲載された事実を、決定日から7年間記録するため、完済のタイミングによっては削除までさらに期間がかかる場合があります。

削除直後に大型ローンへ一気に申し込むと再審査落ちの恐れがあるため、段階的に実績を積み直すのが安全です。

クレジット回復の目安と行動例
ステップ目安時期行動例
1完済後5年経過直後携帯端末の分割購入で小額の実績を作る
21〜2か月後デビットカードまたはプリペイド型カードを日常決済に活用
3さらに3〜6か月後審査が比較的ゆるやかな流通系クレジットカードを申請
4流通系を半年〜1年遅延なく利用銀行系クレジットカードへ進む
5銀行系を1〜2年遅延なく利用住宅ローン・自動車ローンを検討(金利比較も忘れずに)

段階的に実績を積み上げると、銀行や貸金業者からの審査評価が徐々に高まります。

その反面、各ステップで延滞があると評価が下がり、回復までの期間が延びる点に注意しましょう。

続いて、個人再生に関する税務上のポイントを確認していきます。

個人再生に関する税務上のポイント

個人再生と税務の関係は専門家でも見落としがちなテーマで、申立て前に確認しておきたい論点がいくつかあります。

本章では、個人再生に関する税務上の重要ポイントを5つに整理して解説していきます。

個人の場合の債務免除益と所得税の取扱い

個人が借金を免除された場合、原則としてその金額は経済的利益とみなされます。

その反面、個人再生では民事再生法に基づく法的整理として、特別な税務上の取扱いが認められています。

参考

国税庁の所得税基本通達36-17では、債務者の資力が失われている状態での債務免除について、各種所得の収入金額に算入しない取扱いが定められています。

個人再生は資力喪失の状態で行う法的整理のため、減額された借金額(債務免除益)は所得税の課税対象になりません。

つまり、個人再生で借金が減額されたことによって所得税が増えたり、確定申告が必要になったりすることはありません。

参照元:所得税基本通達 第36条関係 ー 国税庁

個人事業主が個人再生をする場合の税務上の留意点

個人事業主が個人再生をする場合は、事業に係る借金の取扱いに注意が必要です。

事業性融資が減額された場合、その金額は本来であれば事業所得の収入金額に算入される可能性があります。

参考

所得税法第44条の2では、資力を喪失して債務の弁済が著しく困難である場合の債務免除益について、収入金額に算入しない特例が定められています。

民事再生法による個人再生は、原則としてこの特例が適用される資力喪失の状態に該当します。

そのため、個人事業主の場合も個人再生による事業性債務の免除は、所得税の課税対象になりません。

その反面、確定申告書には債務免除を受けた旨の記載や、所定の明細書の添付が求められるケースがあります。

申告漏れを避けるため、個人再生の手続き完了後は税理士に相談のうえで確定申告を行うと安心です。

青色申告は個人再生後も継続して利用が可能で、繰越欠損金がある場合は引き続き活用できます。

参照元:所得税法 第44条の2 ー e-Gov法令検索

住宅ローン特則を利用したときの住宅ローン控除

住宅ローン特則を利用しても、住宅ローン控除は原則として継続適用が可能です。

住宅ローン特則は住宅ローン自体を減額する制度ではなく、これまで通り返済を続ける仕組みのためです。

返済期間を延長するリスケジュールを行った場合でも、契約上の返済期間が10年以上残っていれば住宅ローン控除は継続できます。

その反面、リスケジュールにより返済期間が10年未満となった場合は、控除の対象外となる点に注意が必要です。

住宅ローン控除は10年〜13年にわたって所得税が軽減される大きな節税効果があるため、特則利用前に控除との関係を確認しておきましょう。

参照元:No.1213 住宅借入金等特別控除 ー 国税庁

税金・社会保険料は減額対象外

個人再生では、税金や社会保険料は減額の対象になりません。

これらは民事再生法上の非減免債権として、再生計画によっても免除されない仕組みになっています。

具体的には、以下のような税金・社会保険料が非減免債権に該当します。

  • 国税(所得税・消費税・固定資産税・自動車税など)
  • 地方税(住民税・事業税など)
  • 国民健康保険料・国民年金保険料
  • 厚生年金保険料・健康保険料

滞納している税金や社会保険料がある場合は、個人再生とは別に納税計画を立てる必要があります。

国税には納税の猶予制度があり、最大1年(特別な事情があれば最大2年)の分納が認められます。

地方税にも同様の徴収猶予制度があるため、お住まいの自治体に相談してみましょう。

その反面、滞納を放置すると財産の差押えにつながるため、早めの対応が大切です。

参照元:納税の猶予制度 ー 国税庁

過払い金返還を受けた場合の税務上の取扱い

個人再生の手続きに伴って過払い金が返還された場合、税務上の取扱いに注意が必要です。
過払い金の元本部分は不当利得の返還として、所得税の課税対象になりません。
その反面、過払い金に付随する利息部分は雑所得として課税対象となります。

過払い金案件のほとんどは2020年3月以前に締結された契約であるため、旧民法に基づく年5%相当の利率が適用されるケースが大半です。
年間の雑所得が20万円を超える給与所得者は、確定申告が必要となる点に注意しましょう。

個人事業主が事業性の借入れに関して過払い金を受け取った場合は、利息部分も含めて事業所得に算入する必要があります。事業に関する取引のため、雑所得ではなく事業所得として処理されます。

過払い金の正確な税務処理は事案によって異なるため、確定申告前に税理士に相談しておくと安心です。

このように、個人再生は税務上のさまざまな論点に関わる手続きです。

申立て前に税理士に相談しておくと、確定申告や納税計画でのトラブルを避けられます。

続いて、個人再生に関するよくある質問を確認していきましょう。

個人再生でよくある質問

個人再生の手続きやその後の生活について、相談現場で特に多い7つの疑問をまとめました。

保証人への影響や税金の取扱いなど、気になるテーマを順に解説していきます。

Q個人事業主でも利用できますか?
A

はい、個人事業主でも利用が可能です。売上が月ごとに変動していても、直近1年の平均で生活費を差し引いた黒字が見込めれば小規模個人再生を選べます。確定申告書と月別試算表をそろえると審査がスムーズに進みます。

Q保証人付きの借金はどうなりますか?
A

本人の債務が減額されても、保証人への請求権は残ります。再生計画認可後に保証人へ一括請求が来る例が多いため、事前に分割和解や代位弁済の方法を話し合っておくとトラブルを防げます。

※分割和解とは、保証人が債権者と話し合って月払いやボーナス払いに分けて返済する合意を結ぶ方法のことです。
※代位弁済とは、保証人が債権者へ立て替えて支払い、その分を後で債務者に請求する手続きを指します。

Q株や仮想通貨を持っていても申し立てできますか?
A

はい、保有していても申立ては可能です。ただし評価額が高いと清算価値が増え、最低弁済額が上がる点に注意が必要です。時価が大きく変動する資産は、申立て直前に評価証明を取り直しておくと安心です。

Q返済が滞った場合はどうなりますか?
A

返済が滞ると、債権者から再生計画の取消し申立てを受ける可能性があります。収入減などやむを得ない理由がある場合は、民事再生法第234条に基づく再生計画の変更が認められる場合があります。申立てによって分割年数を最長5年まで延長できるため、延滞しそうな段階で早めに専門家に相談しましょう。

Q事故情報の登録期間中にクレジットカードを作れますか?
A

事故情報が消えるまでは、通常のカード審査は通過できません。携帯端末の分割払いやデビット・プリペイド型カードを使って決済実績を積みましょう。5年経過後に流通系カードから順に申し込めば、徐々にクレジット機能を回復させられます。

Q税金の滞納がある場合はどうなりますか?
A

税金は個人再生で減額されない非減免債権のため、個人再生とは別に納税の相談が必要です。国税には納税の猶予制度があり、最大1年(特別な事情があれば最大2年)の分納が認められます。地方税にも同様の徴収猶予制度があるため、お住まいの自治体に相談しましょう。滞納を放置すると財産差押えにつながり、再生計画の認可の妨げにもなる可能性があるため、早めの対応が大切です。

Q個人再生の手続き中に転職・引越しをしても大丈夫ですか?
A

転職や引越しは原則として可能ですが、収入や住所の変更は必ず裁判所と専門家に報告する必要があります。

収入が大幅に減少した場合は、再生計画案の見直しが必要となるケースがあります。

住所変更によって管轄裁判所が変わる可能性もあるため、引越しのタイミングは事前に専門家と相談しておくと安心です。その反面、手続き完了後であれば転職や引越しは自由に行えます。

個人再生は自宅を残して借金を大幅に減額できる手続き

ここまで、個人再生の仕組み・条件・費用・税務上のポイントまで詳しく解説してきました。

最後に個人再生の利点と注意点を整理し、手続きを検討する際のポイントを確認しましょう。

自己破産では自宅や自動車を手放す必要がありますが、個人再生には以下の4つのメリットがあります。

個人再生のメリット
  • 住宅ローン特則で自宅を手放さずに済む
  • 借金の元本を最大10分の1まで減額できる
  • 条件を満たせば自動車を手元に残せる
  • 受任通知で債権者からの催促が止まる

その反面、個人再生には知っておくべき3つの注意点もあります。

個人再生の注意点
  • 信用情報に事故情報が登録される(CIC・JICCは約5年、KSCは約7年)
  • 官報に氏名・住所が掲載される
  • 保証人・連帯保証人に返済が求められる

個人再生の利用には、借金総額5,000万円以下と継続収入が必要です。

取引状況によっては他の債務整理が適しているケースもあります。

本記事で紹介した事務所のような専門家へ、まずは無料相談してみましょう。

他の事務所も含めて比較検討したい方は、債務整理おすすめ|費用が安い弁護士・司法書士事務所を比較もあわせてご覧ください。

加えて個人事業主や住宅ローン控除を利用している方は、税務上の論点も多いため、税理士への相談も合わせて検討するとよいでしょう。

司法統計では個人再生の認可率は主要地裁いずれも9割を超えており、準備と専門家のサポートがあれば借金問題は解決へと向かいます。早めの相談が、再出発への第一歩となります。

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この記事の監修者

三宅正一郎

三宅正一郎

税理士|三宅正一郎税理士事務所 代表

名古屋市北区で税理士事務所を運営。法人税・所得税・相続税の申告業務を中心に、会社設立支援、創業融資サポート、税務コンサルティングなど幅広い業務に対応。個人事業主から中小企業まで、経営に寄り添った税務サポートを実践している。

監修者より

債務整理には免除益課税や事業再建時の税務処理など、税理士の知見が不可欠な場面があります。弁護士・司法書士による手続きだけでなく、その後の確定申告や税金への影響まで正しい情報を届けるため、税務の専門家として監修しています。

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