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同じ年に2社以上から退職金を受け取る退職者の源泉徴収

2021.01.25

同じ年に、2社以上から退職金を受け取る退職者の源泉徴収をするとき、後に退職金を支給する会社は、その計算に注意点があります。なお、ポイントは「同じ年」であることで、これが前年以前であれば別の計算方法となります。
※この記事は、退職者から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を退職者から受けているものとして解説します。
※住民税の特別徴収(退職所得×10%)の計算は省略しています。

同じ年に2社以上の退職金があるとき

同じ年に2社以上から退職金を受け取る人の源泉徴収は、それぞれの会社で行いますが、後に退職金を支給する会社は、前の退職金も含めて源泉徴収を行います。
たとえば、4月にA社から1,500万円、7月にB社から500万円の退職金が支払われる場合、B社は2,000万円分(A社+B社)の源泉徴収税額を計算するということです。
ただし、B社が実際に徴収する税額は、A社がすでに徴収している税額との差額になります。
源泉徴収税額の計算は、退職者から提出を受けた「退職所得の受給に関する申告書」と支払い済みの「退職所得の源泉徴収票」の内容をもとに計算します。

退職金の源泉徴収税額の計算式

退職金の源泉徴収税額は、下記のとおり計算します。

【退職金の源泉徴収税額】
退職所得×所得税率

【退職所得の金額】
(退職金の額-退職所得控除額)×2分の1

退職所得控除額は、退職者の「勤続年数」によって下記のとおり計算します。

1年未満の端数の期間があるときは、1年に切り上げます。

参照記事:退職金から源泉徴収する税金の計算方法【税理士が丁寧に解説します】

勤続年数はもっとも長い期間で判定

2社以上の退職金の源泉徴収をするときの勤続年数は、それぞれの退職金の勤続期間のうち、もっとも長い勤続期間で判定します。
さらにその期間に重複していない期間があれば、勤続期間に加算します。

【計算例】

・A社:平成10年4月~令和3年3月(23年)、退職金1,500万円(源泉徴収税額15万597円)

・B社:平成25年4月~令和3年6月(8年2ヶ月)、退職金500万円

→勤続期間:平成10年4月~令和3年6月(23年2ヶ月)
もっとも長いA社の勤続期間に、B社の2ヶ月間(上の図の黄色部分)を加算します。

→勤続年数:24年
→退職所得控除額:1,080万円(800万円+70万円×4年)

<源泉徴収税額>

・退職所得の金額

(2,000万円-1,080万円)×2分の1=460万円

・退職金の所得税及び復興特別所得税

460万円×20%-42万7,500円=49万2,500円

49万2,500円×102.1%=50万2,842円

・源泉徴収税額

50万2,842円-15万597円(A社から徴収された税額)=35万2,245円

特定役員の勤続期間がある場合

支給する相手が「特定役員」にあたる場合、計算方法が変わります。
「特定役員」についてはこちらの記事をご覧ください。
ここでは、計算例のみご紹介します。

【例】
<A社>

・勤続期間:平成10年4月~令和3年3月

・勤続年数:23年(うち最後の2年間は役員として勤務。重複期間なし。)

・退職金:2,500万円(一般従業員1,500万円、特定役員1,000万円)

・源泉徴収税額225万5,899円

<B社>

・勤続期間:平成25年4月~令和3年6月

・退職金: 500万円

A社とB社の勤続期間を図にすると、下記のようになります。

【退職所得の金額】
退職金の基礎となった勤続期間に、特定役員の期間があるときは、勤続期間を一般のものと特定役員のものに分けることがポイントです。
B社が源泉徴収をするときは、A社とB社の勤続期間を次のように分けます。

・一般の勤続期間:平成10年4月~令和3年6月(23年2ヶ月)

→図のオレンジ色の矢印部分

・特定役員の勤続期間:平成31年4月~令和3年3月(2年)

 →図の緑色の部分

このことから、一般の勤続年数は24年、特定役員の勤続年数は2年(うち一般との重複期間が2年)という考え方で計算します。

・特定役員の退職所得控除額

40万円×(2年-2年)+20万円×2年=40万円(※)

・一般の退職所得控除額

800万円+70万円×(24年-20年)-40万円=1,040万円

・退職所得

(1,000万円-40万円)+(1,500万円+500万円-1,040万円)×2分の1=1,440万円

・所得税及び復興特別所得税

1,440万円×33%-153万6,000円=321万6,000円

321万6,000円×102.1%=328万3,536円

・源泉徴収税額

328万3,536円-225万5,899円=102万7,637円

このとき、マイナスが生じたときは源泉徴収税額を0円とします。
B社から還付をすることはありません。

(※)特定役員の勤続期間のうち、一般の勤続期間との重複があるときは1年あたり20万円で計算します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

同じ年に2社以上から退職金を受け取る退職者の源泉徴収
記事まとめ

同じ年に2社以上から退職金を受けている退職者がいるときは、

・後に支給する会社は前の退職金も含めて税額を計算し、不足額を徴収する

・勤続年数は、まずもっとも長い勤続期間を判定し、それに含まれない期間を加算する

という点に注意してください。

なお、近い時期に2社から退職金を受けるようなケースでは、退職者から2社に同時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することがあります。
このときは、退職者が申告書に「提出の順序」を記載することとされ、後順位とされた会社がこの記事の対応をする必要があります。(所得税法基本通達203-1)

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