確定申告をしないとどうなる?共通のデメリットや事業主・株主のデメリットを解説
2019.09.12
年末が近くなってくると、「確定申告をしなかったらどうなるの?」というご質問を受けることがあります。
毎年苦労して確定申告をされている方も、今年初めて行う方も、やった方がいいというのは何となくわかるけれど、やらなかったらどうなるかというのは気になるところだと思います。
さて、確定申告をしなかった場合、様々なデメリットを受ける可能性があります。
今回は、確定申告をしないことによるデメリットを
・すべての方に共通するデメリット
・個人事業主の方のデメリット
・上場株等の取引をしている方のデメリット
に分けてご紹介します。
確定申告をしなかったときのデメリット(すべての方に共通)
確定申告をしなかった場合、すべての方に共通するデメリットは、次のペナルティを受ける可能性があることです。
延滞税がかかる
延滞税とは、法定申告期限よりも納税が遅れた場合に発生する税金のことです。
法定申告期限は、翌年の3月15日(土日祝日など閉庁日にあたる場合は次の開庁日)となります。
延滞税は、遅れて納付する税額をもとに、次の税率で計算されます。
・「納期限」の翌日から2ヶ月を経過する日まで・・・年2.6%
・「納期限」の翌日から2ヶ月を経過した日以後・・・年8.9%
上記の税率は、令和元年12月31日までの期限のもので、税率は毎年変わる可能性があります。
必ず国税庁のHP等で最新のものを確認して下さい。
ところで、ここでいう「納期限」ですが、法定申告期限になる場合と、そうでない場合があります。
期限後申告や修正申告によって納付税額が確定した場合は、その申告書の提出日が納期限で、更正や決定の処分を受けた場合は、その更正通知書を発した日から1ヶ月後の日が納期限です。
ただしこれは、2ヶ月経過後に税率が上昇する起算日となるのが「納期限」で異なるということに過ぎず、いずれの場合も、法定申告期限の翌日から延滞税はカウントされます。
無申告加算税がかかる
期限内にまったく申告をしなかった場合、後から納付する税額をもとに加算税が課されることがあります。
まったく申告をしなかった場合に課される加算税を「無申告加算税」といい、当然ですが、所得の申告漏れよりも、加算される税額は高くなります。
無申告加算税については、法定期限後から税務調査の通知が行われる前に自ら申告した場合は5%、通知が行われた後は、10%、15%と段階的に上がります。
また税額が50万円を超える部分については、プラス5%となります。
さらに、過去に同様の加算税の徴収を受けたことがあれば、もっと重い加算税が課される場合もあります。
刑事罰の対象になることも
悪質な脱税行為については、上記の加算税や延滞税とは別に、刑事罰の対象になることもあります。
確定申告をしなかったときのデメリット(個人事業主の方)
続いて、個人事業主の方が確定申告をしなかった場合のデメリットです。
損失の繰越控除を受けられない
損失の繰越控除とは、損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、黒字と相殺できる制度です。
個人事業主にとっては特に重要といえる制度ですが、損失を繰り越すには、その損失の生じた年に確定申告書を提出し、その後においても連続して確定申告書を提出していなければなりません。
適用できる損失の範囲には、青色申告者と白色申告者で違いがありますので、詳細は税理士に相談しましょう。
繰戻還付を受けられない
繰戻還付とは、青色申告者の特典で、前年の黒字によって納税した所得税を翌年の純損失と相殺し、前年の納税額の還付を受けることです。
繰戻還付を受ける場合、純損失の生じた年と前年の両方で青色申告が行われていることが要件ですので、青色申告を行っていない年度の還付はできません。
青色申告特別控除を計上できない
青色申告特別控除は、最大65万円を事業所得等から控除できる青色申告者の特典です。
青色申告特別控除を受けるには、法定期限内に青色申告を行うことが適用要件の一つですので、この要件を満たさなければ、青色申告特別控除を適用することはできません。
確定申告をしなかったときのデメリット(上場株等の取引をしている方)
上場株式等の売買で損失が発生した場合、その年の一定の所得(一部の利子所得・配当所得)との損益通算や、控除しきれなかった額を翌年以後3年間にわたって繰り越すことが可能ですが、これには確定申告が必要です。
それから、デメリットではないのですが、確定申告によって配当控除を適用した場合、その方の所得によっては得をすることがあります。
上場株式等の確定申告は、税理士にご相談ください。
まとめ
確定申告をしなかった場合、払わなくてもいい税金を納付しなければならなかったり、本来、安くなるはずの税金が安くならなかったりと、デメリットがたくさんあります。
確定申告が必要な方は、必ず毎年行いましょう。
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