こんな社宅は節税にならない!社宅で節税するときの6つのチェックポイントを税理士が解説
2020.09.7
今回は、社宅で節税するときの具体的なチェックポイントについて解説します。
なおこの記事では、役員や従業員から徴収することで給与課税の対象とならない賃料の額を「賃貸料相当額」と呼んでいます。
「賃貸料相当額」について詳しくは、前回の記事をご覧ください。
参照記事: 役員や従業員に社宅を貸すと個人の節税になる!会社設立時に検討を!
社宅で節税するときの6つのチェックポイント
社宅をタダで貸してはダメ
社宅を役員や従業員にタダで貸せば、給与課税の対象になります。
課税対象になるのは賃貸料相当額ですので、思ったほど高くないという場合もあるかも知れませんが、これでは社宅で節税する意味がなくなってしまいます。
まずは賃貸料相当額を役員・従業員の計算方法の違いに注意しながら算出し、それを毎月徴収するようにしましょう。
社宅の賃貸契約が個人名義になっていないか
社宅の賃貸契約を締結しているのが役員や従業員個人であれば、それは社宅になりません。
・会社名義で社宅を借りる(あるいは購入する)
↓
・役員や従業員から賃貸料相当額を徴収する
という流れが鉄則です。
役員の豪華社宅に注意
役員の社宅のうち豪華社宅とされるものは、「小規模な住宅」や「それ以外の住宅」の計算方法ではなく、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額となります。
豪華社宅にあたるかどうかの判定は、下記のとおりです。
・床面積が240㎡を超える場合
取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定する。
・床面積が240㎡以下の場合
一般に貸与されている住宅等に設置されていないプール等の設備や役員個人のし好を著しく反映した設備等を有するものなどが該当する。
(参考)国税庁タックスアンサーNo.2600「役員に社宅などを貸したとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
50%ルールは従業員のみ
賃貸料相当額の50%以上を徴収すれば給与課税の対象にならないのは、「従業員のみ」の特別ルールです。(所得税基本通達36-47)
役員の場合、似たルールに「小規模でない住宅」の賃貸料相当額の計算方法で、会社が社宅を他から借りて役員に転貸している場合、最低でも家賃の50%を賃貸料相当額とするものがあります。
これは、会社が家主に支払っている実際の家賃の50%のことです。
これと混同して、役員まで賃貸料相当額を半額にしないよう注意してください。
賃貸料相当額をずっと定額で徴収していないか
賃貸料相当額は、固定資産税の課税標準額を使って計算します。
課税標準額については、基本的に3年に1度(※)のタイミングで評価替えが行われます。(地方税法第349条)
課税標準額が変わった場合、その年の固定資産税の第1期の納期限(毎年6月ころ)の翌月分から、賃貸料相当額も変えなければなりません。(所得税基本通達36-42(2))
ただし社宅を借りているのが従業員であり、かつ課税標準額の増減が20%以内であれば、賃貸料相当額の変更をしなくても差し支えないとされています。(同通達36-46)
これも従業員のみの特別ルールですので、役員に適用しないよう注意してください。
(※)改築などにより、これ以外のタイミングで変わることもあります。
高価な家具も一緒に貸与している場合は注意
過去に、法人が購入した社宅・家具を使って役員が使用していたところ、家具やカーテン、食器等についても法人から貸与があったものとして給与課税が認められた事例があります。
法人側は、カーテン、じゅうたん、照明器具は建物の一部なので、建物の賃料に含まれていると主張したのですが、
・家具等が取り外し可能な独立の動産のままであること
・賃貸借契約書がなく、家具の賃料を建物に含める旨の賃貸借契約があったとはいえないこと
などの状況から総合判断が行われ、家具についても個人の給与課税の対象とされました。
もちろん、あくまでこの事例での判断ですから、すべての家具がこの結果になるわけではありません。
しかし、高価な家具を会社で購入して社宅用にすることには、こうした課税リスクがあることも知っておいてください。
(参考)国税不服審判所(平21.10.28 裁決事例集No.78)
https://www.kfs.go.jp/service/JP/78/15/index.html
こんな社宅は節税にならない!社宅で節税するときの6つのチェックポイントを税理士が解説まとめ
・役員に社宅を無料で貸すと給与課税の対象となるのでダメ
・社宅の賃貸契約は個人名義だと対象にならない。必ず法人名義で契約する。
・床面積240㎡以上の社宅は豪華社宅になるため、240㎡以下の社宅を用意する。
・従業員は賃貸料相当額の50%以上を徴収すれば問題はない。役員は状態によるため注意。
・家具等を一緒に貸す場合、給与課税されるリスクがある。貸すのは家賃部分だけにする。
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