令和2年分から65万円の青色申告特別控除を受けるには
2020.05.1
令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除額65万円が55万円に引き下がります。
今回は、この55万円を引き続き、65万円で申告するための要件を解説します。
令和2年分から改正される青色申告特別控除額
青色申告特別控除額が55万円に
令和2年分から65万円の青色申告特別控除額が55万円に引き下がります。
ただし同時に、基礎控除が38万円から48万円(※)にアップしますので、多くの方の「基礎控除+青色申告特別控除額」は、前年と同じになります。
(※1)合計所得金額2,400万円以下の個人のみ。それを超えると基礎控除は32万円、16万円と下がり、2,500万円を超えると0円になる。
しかし、ここで「前年と同じならいいや」と思ってはいけません!
青色申告特別控除額は、一定の要件を満たせば、引き続き65万円の控除を受けることができるからです。
その場合は、前年よりも控除額が10万円多くなることになります。(下記のパターン2参照)
65万円の控除を受けるには
令和2年分以降も65万円の控除を受けるためには、
・電子申告
・電子帳簿保存
のどちらか一方を行う必要があります。
なお、従来からの65万円控除の要件(※2)は引き続き守らなければなりません。
(※2)正規の簿記での記帳、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告など。不動産所得の方は、事業的規模であることも必要。
確定申告書の電子申告
電子申告とは
電子申告とは、確定申告書の提出方法の1つです。
作成した確定申告のデータを、国税庁のe-Taxというシステムを使って税務署に送信するものになります。
令和2年分から65万円控除を受けるには、令和2年分の確定申告(令和3年3月15日までに行う確定申告)から電子申告を行う必要があります。
電子申告を行うための準備
初めて電子申告を行うときは、「マイナンバーカード方式」か「ID・パスワード方式」による利用開始のための準備が必要です。
ただし「ID・パスワード方式」は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定措置とされています。
電子申告の方法
確定申告のデータを国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成すれば、そのまま一連の画面操作の中で電子申告を行うことができます。「e-Taxソフト」(無料)をダウンロードして、それに「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告データを組み込んで送信することも可能です。
市販の会計ソフトを使っている方は、そのソフトが電子申告に対応していれば、作成したデータを「e-Taxソフト」を使って送信することもできます。「ID・パスワード方式」に対応していないものもあるため、申告期限にゆとりをもって確認しておきましょう。
なお、電子申告は税理士に代理を依頼することも可能です。
電子帳簿保存
電子帳簿保存とは
電子帳簿保存とは、税務署長の事前承認を前提に、データで作成している「帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)」を、印刷せずにデータのままの状態で保存することを認める制度です。
電子帳簿保存法では、帳簿のほかに「書類(請求書、契約書、領収書など)」のデータ保存についても定めがありますが、65万円控除の要件となっているのは「帳簿」のみとなります。
電子帳簿保存を行うための準備
通常は、事業年度の開始3か月前までに申請を行い、事業年度の開始から電子帳簿保存を行わなければなりません。
ただし令和2年分に限り、9月30日までに申請して12月31日までに電子帳簿保存を開始すれば、65万円の控除を受けることができます。
電子帳簿保存の方法
電子帳簿保存の承認を受けるには、電子帳簿保存法に定める要件を満たさなければなりません。
たとえば、会計ソフトで作成した帳簿データで電子帳簿保存を行う場合は、訂正、削除の履歴を確認できる機能や検索機能が備わっているなど、その会計ソフトが一定の機能を備えている必要があります。
詳細な要件は、専門家にお尋ねください。
まとめ
65万円の控除を受けるには、
・電子申告
・電子帳簿保存
のいずれかを行うことが必要です。
手軽に実行できるのは電子申告ですが、この機会に電子帳簿保存を導入するというのもよいでしょう。
導入方法がわからない方は、ぜひご相談ください。
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