役員や従業員に社宅を貸すと個人の節税になる!会社設立時に検討を!
2020.09.2
今回は、役員や従業員に社宅を貸した場合の節税対策をお伝えします。
現在、個人で住宅を借りている経営者の方やこれから会社を設立する経営者の方は、ぜひ会社名義で契約して社宅として使用することを検討してみてください。
社宅がなぜ節税になるのか
社宅は、貸与された役員や従業員の給与扱いとなり、個人の所得税・住民税の課税対象になります。
なぜなら、金銭を受け取る場合だけでなく経済的な利益を受けた場合も個人の収入扱いになり、さらに会社から役員や従業員に支給されるもので役務提供の対価の性質をもつものは名称にかかわらず給与になるルールがあるためです。(所得税法第28条、第36条)
ところが社宅の場合、社宅を借りた役員や従業員から会社にある程度の賃料(以下、「賃貸料相当額」)が毎月支払われていれば給与課税の対象になりません。
賃貸料相当額は役員と従業員それぞれに、計算ルールが決められています。
それなら「社宅ではなく、住宅手当を支給しても同じことではないか」と思われるかも知れませんが、その場合は、住宅手当の全額が給与課税の対象となるため、役員・従業員個人の税負担は社宅の方が少なくなります。
これが社宅による節税のしくみです。
また、賃貸料相当額は家賃相場よりも安価であることが多いです。
そのため、役員や従業員個人が自分で不動産業者から借りるよりも、負担する住居費を抑える効果が期待できます。
役員の賃貸料相当額
賃貸料相当額は、役員と従業員で計算ルールが異なります。
役員の場合は、社宅の床面積を基準に「小規模な住宅」か「それ以外か」で計算方法が分かれます。
小規模な住宅の賃料相当額の方が安くなります。
小規模な住宅の賃貸料相当額
床面積132㎡以下(木造以外は99㎡以下)の小規模な住宅は、次の3つの金額の合計を役員から会社に毎月支払えば給与課税の対象になりません。
(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
(2)12円×当該建物の総床面積(㎡)/3.3
(3)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
なおこの計算方法は、
・社宅を会社が所有している場合
・社宅を会社が賃貸し役員に転貸している場合
のどちらであっても使えます。
現在、個人で住宅を借りている方は、ぜひ賃貸料相当額を計算してみてください。
賃貸している物件の固定資産税の課税標準額や床面積を確認するには、市役所から評価証明書を発行してもらいましょう。
発行には申請が必要ですので、必要書類を申請先の役所のホームページ等でご確認ください。(「市町村名 評価証明書」などで検索すると出てきます)
おそらく今支払っている家賃よりも、賃貸料相当額の方が安いのではないでしょうか。
その場合は、会社で賃貸契約した建物を社宅として借りることをぜひ検討してみてください。
なお役員個人名義で賃貸契約を行っている状態では、この節税方法は使えません。
小規模な住宅でない場合の賃貸料相当額
床面積の条件により小規模な住宅にあたらない社宅の計算方法です。
この場合は、
・社宅を会社が所有している場合
・社宅を会社が賃貸し役員に転貸している場合
で計算方法がさらに分かれます。
【社宅を会社が所有している場合】
次の2つの金額の合計の12分の1となります。
(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%(※木造以外は10%)
(2)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
【社宅を会社が賃貸し役員に転貸している場合】
次の2つの金額のいずれか大きい金額となります。
・社宅を会社が所有している場合の金額
・会社が家主に支払う家賃の50%の金額
無料・低い金額で貸与した場合はどうなる?
社宅を無料で貸与した場合は、賃貸料相当額が給与扱いとなり課税されます。
これに対し、賃貸料相当額よりも低い額で貸与した場合は、その差額が給与として課税されます。
<例:賃貸料相当額が20万円の場合>
・タダで役員に貸与した場合:毎月20万円が給与課税の対象となる。
・15万円で役員に貸与した場合:毎月5万円が給与課税の対象となる。
従業員の賃貸料相当額
従業員の賃貸料相当額は、役員の「小規模な住宅」と同じになります。
無料・低い額で貸与している場合の扱いも、役員と同じです。
ただし従業員の場合は、賃貸料相当額の50%以上を徴収していればその従業員が社宅の貸与によって受ける経済的利益はないものとして扱われます。
つまり、半分を受け取っていれば課税されません。
これは従業員のみのルールとなります。
<例:賃貸料相当額が20万円の場合>
・タダで従業員に貸与した場合:毎月20万円が給与課税の対象となる。
・15万円で従業員に貸与した場合:給与課税なし。
役員や従業員に社宅を貸すと個人の節税になる会社設立時に検討を!まとめ
・役員や従業員から一定の賃料を徴収すれば、役員・個人側は給与課税されない。
・社宅は会社名義(法人契約)で借りる必要がある。
・社宅の床面積は、132㎡以下のものを選ぶ
・社宅を会社が所有している場合も適用可能
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