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店舗や事務所と併用している自宅を夫や妻に贈与するときの特例を税理士が解説! 名古屋市北区で税理士なら三宅正一郎税理士事務所

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店舗や事務所と併用している自宅を夫や妻に贈与するときの特例を税理士が解説!

2020.09.14

自宅や自宅の持ち分を夫や妻に贈与したいときは、贈与税の負担を抑えるために「贈与税の配偶者控除」を適用することを検討しましょう。
自宅の一部を店舗や事務所として使っている場合も適用できますし、持ち分の贈与のときは申告のやり方次第で有利に適用できる場合もあります。

贈与税の配偶者控除とは

贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間20年以上の夫婦間で「居住用」の家屋や土地等を贈与した場合、最大2,000万円まで贈与税がかからない特例です。
たとえば評価額5,000万円の自宅を贈与するときに特例を使うと、贈与税の課税対象になるのは3,000万円になります。
さらに贈与税の基礎控除も別枠で利用できますので、他に贈与された財産がなければ、3,000万円からさらに110万円が控除されます。

店舗や事務所と併用している住宅でも使える

自宅を店舗や事務所と併用している場合は、床面積を基準に算定した「居住用部分」のみ特例を使うことができます。(相続税法基本通達21の6-1)
これは事例で見た方がわかりやすいです。

【事例】

<自宅>

・建物の床面積 200㎡

 (居住用120㎡・事業用80㎡)

・敷地の面積 300㎡

<評価額>

・建物の評価額 2,000万円

・敷地の評価額 3,000万円

特例を使って建物と敷地を贈与するとき、「居住用部分」は建物と敷地それぞれで考えます。
まず建物の居住用部分は、そのまま120㎡です。
敷地は、建物の床面積のうち居住用部分が占める割合(60%=120㎡/200㎡)を敷地の面積にかけて計算します。
したがって敷地の居住用部分は180㎡(300㎡×60%)です。

<居住用部分の評価額>

・建物 1,200万円(2,000万円×60%)

・敷地 1,800万円(3,000万円×60%)

・合計 3,000万円

この事例では、居住用部分の評価額の合計(3,000万円)が2,000万円を超えています。
よって特例を使って建物と敷地を贈与した場合、控除額は2,000万円です。
実際に課税対象になる金額は3,000万円(5,000万円-控除額2,000万円)から基礎控除110万円を差し引いた2,890万円となります。
なお居住用・事業用で併用している部分がある場合は、別途計算方法があります。(同通達21の6-2)

おおむね90%以上ならすべて居住用に

この特例は、居住用部分を超えて控除することはできません。
計算の結果、居住用部分が2,000万円より少なかったときは、2,000万円全額を控除できないということです。
しかし、もし居住用部分の割合が全体のおおむね90%以上であれば、全体を居住用不動産として扱ってよいとされています。(相基通21の6-1)
ちなみに控除額を使い切れなかったとしても、それを持ち越して別の年に使うことはできません。
同じ配偶者からの贈与で、この特例が使えるのは1度きりです。(相続税法第21条の6第1項)

持ち分の贈与があったときは

夫婦で持ち分を定め、自宅を共有している場合があります。
この持ち分を贈与したときも、贈与税の配偶者控除の対象になります。
たとえば先ほどの建物と敷地について夫から妻に持ち分50%を贈与すると、居住用部分は下記のようになります。

<居住用部分の計算式>

3,000万円(※)×50%=1,500万

(※)居住用部分の評価額

・建物 1,200万円(2,000万円×60%)

・敷地 1,800万円(3,000万円×60%)

・合計 3,000万円

したがって特例で控除できる金額は、原則1,500万円になります。
ただし、これには例外があります。
もし贈与された持ち分の割合が居住用部分の割合以下の場合は、贈与された持ち分に対応する建物と敷地の部分を特例の対象とすることができるというものです。(同通達21の6-3)
ややこしいので事例の数字をあてはめながら整理しましょう。
贈与された持ち分の割合(50%)が居住用部分の割合(60%)以下の場合は、贈与された持ち分に対応する建物(2,000万円×50%)と敷地(3,000万円×50%)の部分を特例の対象にできるという内容になります。
何をやっているのかわかりづらいのですが、これは「持ち分を贈与するなら、そこに居住用部分を優先的に含めて有利になるよう贈与税を計算してよいですよ」というルールです。
このルールを使うと、事例では2,500万円(※)を居住用部分として扱えることになりますので、2,000万円全額を控除することができます。
原則では1,500万円しか控除できなかったのですから、例外を適用したほうがお得です。
この例外を適用するには、この例外を使った内容で贈与税の申告をする必要があります。
贈与された人に「居住用部分をたくさんもらいました」という認識がなければならないのです。
申告のやり方次第で、控除額がアップできるのですから使わない手はありません。
持ち分を贈与するときは思い出してください。
(※)2,000万円×50%+3,000万円×50%

「店舗や事務所と併用している自宅を夫や妻に贈与するときの特例を税理士が解説!」記事まとめ

・贈与税の配偶者控除は、夫婦間(婚姻期間20年以上)で居住用不動産等を贈与するときに使える特例のこと

・最大で2,000万円の控除が可能(対象が2,000万円未満ならその金額が上限)

・事業用との併用住宅では居住用部分のみ対象になる

・持ち分を贈与するとき、持ち分割合が居住用部分の割合以下なら居住用部分を優先的に贈与できる(その旨で申告する必要あり)

最後に、贈与税の配偶者控除は「相続税」の節税対策には一般的にはあまり向いていません。
どのような場面で使うかがポイントとなる特例なので、迷っている方は一度税理士にご相談ください。


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