開業したときの住民税はなぜ高いのか【税理士がわかりやすく解説!】
2020.08.31
会社員から開業してフリーランスに転身したとき、あるいは会社を起こして経営者に転身したときは、会社員時代の住民税の支払いに注意が必要です。今回は、序盤になぜ開業時は高額な住民税が問題になりやすいのかについてを解説し、終盤では高額になりがちな住民税について、開業前・開業後にやっておくべき対策についてご紹介させていただきます。
開業したときの住民税が高い理由
そもそも住民税とは
住民税は、住所のある市町村に対して個人が納める税金です。
納税先は、1月1日時点で住民票の所在する市町村となるため、もし年の途中で転出した場合は、前の住所地の市町村に納めることになります。
住民税は、5,000円ほどの「均等割」と、前年の所得に対して10%の税率で計算される「所得割」の合計値となります。
均等割や所得割の内訳は、都道府県に納めるものと市町村に納めるものに分かれますが、徴収は市町村が一緒に行います。
均等割や所得割のほかにも、利子割、配当割、株式等譲渡所得割というものがありますが、今回は考えなくて大丈夫です。
住民税はいつどのように納めるのか
住民税をいつどのように納めるかは、会社などから給与をもらっている人とそうでない人で分かれます。
会社などから給与をもらっている人については、基本的には「特別徴収」といって、会社を通じて住民税を納める徴収方法の対象となります。(地方税法第321条の3)
特別徴収では、住民税の金額を12分割し、会社がそれを毎月の給与から天引きして市町村に納税します。
それ以外の人は、「普通徴収」になります。
普通徴収では、住民税の金額を4分割し、年4回に分けて納税者自身が市町村に納めます。名古屋市の納期は
・第1期 6月末
・第2期 8月末
・第3期 10月末
・第4期 翌年1月末
です。
高額な住民税が問題となる理由
住民税は、「前年の所得」の情報をもとに市町村が計算します。
毎年5月ころに金額を記載した通知書を、特別徴収の人は職場に、普通徴収の人は自宅宛てに送り、6月から徴収を開始します。
しかし、徴収されているのは「前年の所得」に基づく住民税です。
そのため、会社員を辞めて開業する場合、開業初年度は、会社員時代の所得に対して計算された住民税を負担しなければなりません。
そうすると、開業直後からたくさん稼げるケースは多くありませんので、少ない収入に対し、過大な住民税を支払わなければならないのです。
住民税の負担に困らないためには
会社設立・個人事業開業前に節税する
開業後の住民税の負担を考慮し、開業前、つまり会社員の間に節税をするという方法です。
確定拠出年金などで所得控除を増やす方法や、ふるさと納税を利用して翌年の住民税の支払いをなるべく減らしておく方法が考えられます。
減免申請を検討する
開業後、収入がかなり減っている場合は、市町村への「減免申請」を検討しましょう。
減免の対象となるかどうかは、収入の減少率や前年の所得などが減免の要件を満たしているかどうかで判断されます。
要件は自治体によって異なりますので、ご自身の納税先となる市町村の窓口に必ず相談してください。
ただし一度納税したものを還付してもらう制度ではないため、納税する前に行動することがポイントです。
なお国民健康保険税にも同様の制度があるため、個人事業主のうち必要な方はあわせて確認してください。
専門家(税理士)と開業スケジュールを立てる
開業する際は、資金調達、税務関係の届け出、従業員の社会保険関係の手続き、経理ルールづくりなど、短期間でやらなければならないことがたくさんあります。
住民税の納税資金にまで気が回らないというのは、ごく当たり前のことです。
住民税のような落とし穴を避けながらスムーズに開業を進めるには、専門家に開業プランの相談を行い、「いつまでにこれを提出する」「いつまでにいくら用意しておく」といったスケジュールをつくる方法がおすすめです。
ぜひ一度、開業プランについてご相談ください。
開業したときの住民税はなぜ高いのか【税理士がわかりやすく解説!】まとめ
・住民税は前年(サラリーマン時代)の所得をもとに計算する
・勤務時代の所得が高いと開業初年度の住民税は高くなる
・開業後、収入が大幅に減っている場合は、減免申請を検討する
・開業前にふるさと納税や確定拠出年金を行うことで、住民税負担は軽くなる
・開業前に納税スケジュールを決めておく
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