青色専従者給与を増やす時に必要な届け出や書類の書き方について
2020.01.7
個人事業主からその親族に支払われた金銭は、必要経費に算入されません。
ただし給与についてはその親族が「事業専従者」である場合、その一部が必要経費となり、さらに青色申告者の場合、その親族が「青色事業専従者」として税務署に届けられた人であれば、届け出た範囲内で支給された給与をすべて必要経費とすることが認められます。
青色事業専従者に給与を支払うことは、個人事業主の節税対策として非常に有効です。
しかし、事業の規模が大きくなるにつれ、「今届け出ている金額よりも多く支給したい・・・」となることでしょう。
今回は、個人事業主が青色事業専従者給与の額を増やすための手続きについて解説します。
青色専従者給与を増やすには「変更届出書」が必要
青色専従者給与を増やすには「青色事業専従者給与に関する変更届出書」の提出が必要です。
変更届出書の様式は同じ
「青色事業専従者給与に関する変更届出書」は、すでに提出している「青色事業専従者給与に関する届出書」との兼用様式になります。
変更届出書の提出期限は?
変更届出書は、年の途中でも提出可能です。
具体的な期日は定められていませんが、金額を変更する場合には、「遅滞なく」書類を納税地の所轄税務署長に提出することが義務付けられています。(所得税法施行規則第36条の4第2項)
疑義を生じさせないためには、給与の金額を変更する前に提出するとよいでしょう。
減額する場合は不要
逆に青色事業専従者給与の支給額を減らしたい場合、変更届出書は必要ありません。
すでに提出している給与の範囲内であれば問題ないため、そのままで大丈夫です。
変更届出書の書き方
「変更理由」が必要に
変更届出書には、青色申告者の氏名や住所、変更する内容(新しい給与の額)を書くほか、最初の届け出のときには空欄でよかった「変更理由」を書く必要があります。
変更理由とは、青色事業専従者給与を変更する具体的な理由です。
変更理由には何が求められているのか
そもそも青色事業専従者給与を必要経費に算入できる要件には、その支給額が届出書に記載された金額の範囲内であることに加えて、
・専従者の労務に従事した期間、労務の性質およびその程度
・他の従業員の給与や、同種同規模の事業に従事する者の給与の状況
・事業の種類、規模および収益の状況
を総合的に判断し、相当と認められる金額に限られます。
利益操作のために設定した金額では、必要経費として認められない可能性があるということです。
変更理由について、書き方に決まりはありませんが、「節税したいから」などではよろしくないとことは、上記の判断材料から察する必要があります。
もちろん大切なのは勤務の実態であって、書類の書き方が、税金の計算に直接作用するわけではありません。しかし、変更する際の届け出の義務がある以上、制度の趣旨を踏まえて書き方を考えることが大切です。
「変更理由」の書き方
「変更理由」は記入欄が非常に狭いため、記載できる内容も限られますが、給与を決める際の一般的な基準に照らし合わせて、相当な増額であることがわかるものがよいでしょう。
給与は、その人の勤務年数、役職の有無、経験や保有資格などの基準で決めることが多いと思います。給与規程などで計算方法を決めている場合もあるでしょう。
たとえば「事業拡大に伴い、業務範囲が広がった」「給与規程の変更に伴い、資格手当を創設した」等、その増額が合理的であることが税務署に伝われる書き方が良いと思います。
もちろん、勤務の実態が伴っていることが前提です。
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