年調ソフトがリリースされました【税理士が試した感想を報告します】
2020.12.23
国税庁の年調ソフトについて、概要や機能、インストールして操作してみた感想などをお伝えします。
年調ソフトについて
年調ソフトの概要
年末調整手続きの電子化に向けて法整備が行われ、年末調整用の各種控除申告書や控除証明書を電子データで提出できるようになりました。
それにともない、令和2年10月、国税庁から年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(以下、年調ソフト)がリリースされました。
年調ソフトは、年末調整手続きの電子化を支えるツールで、従業員が年末調整で会社に提出する各種控除申告書をデータで作成するためのものです。
ただし、年末調整の電子化は義務ではないため、年調ソフトは全員が使わなければならないものではありません。
また、年調ソフトは年末調整をするためのソフトではないため、会社が年末調整に役立てたい場合は、自社の給与システムと連携できるかを確認する必要があります。
その結果によって、従業員に電子データでの提出を求めるのか、紙のままにするのか、どちらも認めるのかなどの方針を従業員に打ち出す必要があると考えられます。
年調ソフトの利用方法
ウェブからダウンロードする方法と、Google PlayやAppStoreからアプリでダウンロードする方法があります。
操作は、スマホ、PCのほか、タブレットでも行うことができます。
インストールしたところ、スマホやタブレットはスムーズにインストールできましたが、PCはマニュアルを見ながら進めないとわかりにくかったです。
年調ソフトでできる主なこと
各種控除証明書の作成
下記の年末調整申告書を作成することができます。
・扶養控除等申告書
・生命保険料控除申告書
・基礎控除申告書
・配偶者控除等申告書
・所得金額調整控除申告書
・住宅借入金等特別控除申告書
これらはデータでの提出・印刷の両方が可能ですが、住宅借入金等特別控除申告書について電子データでの提出ができるのは、居住年が平成31年分(令和元年)以後の場合のみとなります。
各種控除証明書のデータ取得
生命保険料控除を受けるための保険料控除証明書や、住宅ローン控除を受けるための住宅借入金等特別控除証明書、年末残高証明書をデータで取得できます。
データ取得の方法は、マイナポータル連携や電子データを個別にインポートする方法があります。
マイナポータル連携を使えばデータの一括取得が可能ですが、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。
これらの方法でデータを取り込むと、対象となる申告書に計算結果を自動反映させることができます。
なおデータを取り込まず、控除証明書を通常どおりハガキや用紙で取得し、手入力することも可能です。
年調ソフトの導入メリットについて
年末調整を行う会社にとって年調ソフトを使った一番メリットの大きい流れは、国税庁の説明動画などを見る限り、「従業員が控除証明書をデータで取得」→「それに基づいて自動計算された各種控除申告書と証明書を電子データで会社に提出」→「会社は電子データを給与計算ソフトにインポートし、年末調整を行う」というもののようです。
このとおりでなくても活用できますが、たとえば、控除証明書をデータで取得する準備が面倒だという人が手入力で行ったとき、会社側は入力ミスがないかをチェックしなければなりませんので、いつもの年末調整と同等の労力を必要としてしまいます。
よって会社側は使う環境次第で、メリットの大きさが変わってくると考えられます。
一方、従業員側には、たとえデータで提出できなくても
・基本情報を入力すれば、何枚も同じ住所や氏名を手書きしなくてよい
・生年月日を入力すれば、扶養親族の区分を判定してくれる
等といった、使うだけで享受できるメリットがあります。
個人的な感想ですが、画面入力であれば、紙のようにどこから書いたらいいか迷うこともありませんので作成しやすいように感じます。
紙での年末調整に慣れている人がほとんどですから、不便さは出てくると思いますが、一度入力してみると案外簡単に感じるかもしれません。
年調ソフトがリリースされました【税理士が試した感想を報告します】記事まとめ
・年調ソフトとは、従業員が年末調整で会社に提出する各種控除申告書をデータで作成するためのもの
・書類作成やデータの取得などの機能がある
・会社にメリットがあるかは環境次第である
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