特別償却をした翌年以降の減価償却費の計算方法
2021.04.5
投資促進税制などを活用して固定資産を購入したとき、「特別償却」か「税額控除」を選ぶことができます。「特別償却」とは、減価償却費の上乗せのことです。このことは、多くの方がご存知と思います。しかし、適用したときの具体的な減価償却費の計算方法、特に適用した翌事業年度以降の計算がどうなるかまで知っている方は意外に少ないのではないでしょうか。今回は、特別償却を選択したときの減価償却費の具体的な計算方法について解説します。
特別償却とは
特別償却とは、減価償却費の上乗せです。通常、減価償却費には法人税の損金に算入できる限度額があり、それを超えた分は損金に算入できません。特別償却は、この限度額に特別償却費(勘定科目は減価償却費)を上乗せし、通常の減価償却費との合計額を損金に算入できる制度になります。特別償却を使用すると、耐用年数よりも早く減価償却が終わります。
特別償却を適用した時の減価償却費の計算方法
特別償却を選択したときの減価償却費の計算方法をご説明します。
【例】
・取得価額100万円
・耐用年数5年
・定率法(200%定率法)
・償却率0.400
・保証率0.10800(保証額10万8,000円)
・改定償却率0.500
・特別償却を適用(特別償却率は30%)
5年間の償却額は次のようになります。
・「普通償却限度額」…通常の減価償却費によって損金に算入することができる限度額。
・「特別償却限度額」…特別償却によって損金に算入することができる限度額。事例では100万円×30%=30万円
以下、初年度と2年目以降に分けて、計算のポイントを解説します。
初年度の計算のポイント
初年度の普通償却限度額は、100万円×0.400で計算します。例では、期首から事業に使用したものとして計算していますが、年の途中から使用した場合は、月割計算をします。
2年目以降の計算のポイント
定率法の場合、特別償却をした翌事業年度は、特別償却額を差し引いた額に償却率をかけることに注意が必要です。例の2年目でいうと、「60万円×0.400」ではなく、特別償却額を差し引いた後の「30万円×0.400」で計算します。3年目以降は、減価償却費が保証額10万8,000円を下回りますので、改定償却率で計算します。4年目は備忘価額1円が残るように調整します。
特別償却をした翌年以降の減価償却費の計算方法記事まとめ
・特別償却を使用すると、耐用年数よりも早く減価償却が終わる
・定率法を選択しているときは2年目の期首の帳簿価額に注意
特別償却は、通常の減価償却費よりも固定資産の取得価額を早く経費にすることができます。
メリットしかないように思えますが、デメリットもあります。
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