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税務調査で行われる推計課税とは

2021.07.27

この記事では、推計課税について解説します。

税務調査で行われる推計課税とは

推計課税とは、税務署が、関係書類から把握した実額ではなく、他の状況から、調査対象年度の所得の額を推計して、法人税や所得税の更正や決定の処分をすることです。
もちろん原則は、保存された資料(帳簿書類など)に基づく実額計算でなければなりません。
しかし、それが難しく、推計課税をすることに「必要性」がある場合は認められます。
なお、法人・個人ともに、青色申告による所得の額に対して推計課税は適用できません。
したがって、推計課税の対象になるのは、申告をしていない年度や、白色申告をしている年度の所得税・法人税になります。
青色申告には、帳簿書類などの保存に関して厳格な条件があるため、推計課税の必要性が生じないことが前提となるからだと思います。

推計課税の「必要性」とは

推計課税の必要性は
・帳簿書類などが保存されていない
・保存されている帳簿書類などの内容が不正確である
・納税者が帳簿書類などの提供を拒否するなど調査に非協力的である
といった事情から判断されます。
国税不服審判所の裁決事例を見ると、「再三にわたって調査に応じるよう求めたが応じてもらえなかった」「帳簿書類の提示に応じてもらえなかった」といった調査側の説明と、これに対する納税者側の説明から判断されます。
上記のような場合は、推計課税の必要性があったと判断されることが多いようです。

推計課税の「合理性」とは

推計課税には「合理性」も必要です。
たとえば、税務調査で帳簿書類に不備があることがわかり、「500万円くらい売上の申告漏れがあるかな…」と思っていたところ、推計課税によって2,000万円の売上の申告漏れがあるとされたら、こちらに非があるとはいえ、簡単に受け容れることはできませんよね。
法律上は、次のような状況から推計課税をすることが認められています。
・財産や債務の増減の状況
・収入や支出の状況
・生産量、販売量その他の取扱量
・従業員の数その他事業の規模
さまざまな材料から推計することが認められているため、調査官が選ぶ手法もさまざまです。
しかし、実際に推計課税を行う際には、調査側が選んだ方法に、次のような合理性があることが求められます。
・推計の基礎事実(数値)が正確に把握されていること
・その推計方法が最適な方法であること
・真実の所得にできるだけ近似した数値が算出できる客観性があること

推計課税の過去の裁決事例

過去の裁決事例では、推計課税の必要性はあるものの、その合理性について問題が認められ、審判書の判断で計算結果が変わっている事例がいくつか見受けられます。

類似事業者の抽出に問題が認められた事例(平成30年4月19日裁決)

推計課税では、業種、業態、事業内容、規模、所在地などが類似している事業者を抽出し、必要経費の割合の平均値から、所得を算出する方法が用いられることがあります。
上記の裁決では、この方法に合理性はあるものの、抽出先の一部に、抽出基準に合わないものがあるため、これを除いて平均値を算出すべきと判断されました。
このときの納税者の主張は、業種が同じでも業態による差が大きいため、類似事業者による推計課税の方法そのものに合理性がないのでは、というものでしたが、裁決では、納税者の事業にそうした特段の事情はないと判断されています。
ちなみに、平成30年6月8日裁決でも、抽出基準は異なるものの、類似事業者の必要経費の割合の平均値から所得を算出することには合理性があるとされています。

売上を推計するための基礎となる売上原価の認定に誤りが認められた事例(平成28年3月10日裁決)

納税者の領収書等から売上原価の額を算定し、それを類似する同業者の売上原価の割合の平均値で割って、売上金額を推計したケースです。
裁決では、計算方法に合理性はあるものの、類似事業者の選定に問題があることや、納税者が提示した領収書等から計算した売上原価に、接待交際費や家事費が含まれていることから、金額の補正が行われました。

税務調査で行われる推計課税とは まとめ

なかなか聞き慣れない「推計課税」ですが、原則は、実額計算です。
もし税務調査で、調査側から推計課税のような話があったときは、それが適法なのかを考える必要があります。
争えばそれだけ労力もかかりますから、あえて受け容れるという選択をする場合もあるでしょう。
なお、推計課税の「必要性」について審判所で争うつもりが、芋づる式に「合理性」の判断に言及され、その結果、計算結果が変わっているような裁決事例が見受けられます。
事例からはわかりませんが、これにより、税務署が最初に提示してきた金額より税額が高くなるケースもゼロではないでしょう。
推計課税の対応は、結構難しいのです。

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