延滞税の除算期間を解説
2021.11.12
延滞税の除算期間について解説します。
延滞税の除算期間とは
延滞税は、原則として、法定納期限の翌日から、その国税を完納する日までの期間の日数に応じて発生します。
つまり、納税が遅れれば遅れるほど、延滞税が高くなるということです。
ところが、税務申告をしてから数年後に税務調査がやってきたことによって、新たに納付する税額があることが判明したようなケースでは、税務署がやってくる時期によって延滞税の負担が変わってしまうという、納税者にとって公平でない状況が生まれてしまいます。
そこで、下記のようなケースで延滞税が発生する場合、延滞税の計算期間の一部を計算から除算する特例があります。
・修正申告の提出または更正によって納税額が生じた場合
・申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告または更正があった場合
なお、重加算税が課される場合(不正行為があった場合)には、この除算の適用はありません。
修正申告の提出または更正によって納税額が生じた場合
最初の申告が「期限内申告」の場合
法定申告期限から「1年を経過する日後」に、修正申告書が提出されるか、更正の通知書が発せられた場合、その法定申告期限から「1年を経過する日の翌日」から、修正申告書の提出日または更正の通知書が発せられた日までの期間は、延滞税の計算期間から除算されます。
「1年を経過する日後」とは
例:法定納期限が3月15日である場合、「法定納期限から1年を経過する日後」とは、「翌年の3月16日以後」となります。
「1年を経過する日の翌日」とは
例:法定納期限が3月15日である場合、「法定納期限から1年を経過する日の翌日」とは、「翌年の3月16日」となります。
最初の申告が「期限後申告」(還付請求申告を含む)の場合
期限後申告書の「提出があった日の翌日から起算して1年を経過する日後」に修正申告書が提出されるか、更正の通知書が発せられた場合、その期限後申告書の「提出があった日の翌日から起算して1年を経過する日の翌日」から、修正申告書の提出日または更正の通知書が発せられた日までの期間は、延滞税の計算期間から除算されます。
「提出があった日の翌日から起算して1年を経過する日後」とは
例:期限後申告書の提出日が5月31日である場合、「提出日の翌日から起算して1年を経過する日後」とは、翌年の6月1日以降となります。
「提出があった日の翌日から起算して1年を経過する日の翌日」とは
例:期限後申告書の提出日が5月31日である場合、「提出があった日の翌日から起算して1年を経過する日の翌日」とは、翌年の6月1日となります。
申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告または更正があった場合
こちらは、平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税について適用されるようになった、新しいルールです。
対象となる状況が非常にややこしいのですが、まずは最初の申告(期限内申告か期限後申告)があって、次に、最初の申告に対して納付税額を減少させる更正(減額更正)があって、さらにその後に修正申告や増額更正が行われるという流れがあった場合というのが、この新しいルールの対象となります。
上記の状況にあてはまるとき、下記の①と②の期間がいずれも計算期間から除算されます。
除算される期間①;最初の申告による納付から減額更正まで
最初の申告書の提出による税額の納付があった日(期限内に納付していれば、法定納期限)の翌日から、減額更正の通知書が発せられた日までの期間が、延滞税の計算期間から除算されます。
除算される期間②:減額更正から修正申告・増額更正まで
減額更正の更正通知書が発せられた日の翌日から、修正申告書が提出された日または増額更正の通知書が発せられた日までの期間が、延滞税の計算期間から除算されます。
ただし、減額更正が「更正の請求」に基づく場合、更正通知書が発せられた日の翌日から起算して1年を経過する日の翌日から、修正申告書が提出された日または増額更正の通知書が発せられた日までの期間が、延滞税の計算期間から除算されます。
後者を言い換えると、更正の請求に基づく減額更正から1年間は、延滞税の計算期間に含まれるということです。
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