【新型コロナ税特法】令和4年入居者の住宅ローン控除に注意
2022.05.20
「令和4年」にマイホームに入居される方のうち、住宅ローン控除を適用する方は、令和3年度税制改正による住宅ローン控除が適用されるケースと、令和4年度税制改正による住宅ローン控除が適用されるケースに分かれます。
この記事では、令和3年度税制改正における住宅ローン控除(「新型コロナ税特法」による住宅ローン控除)が適用されるケースについて解説します。
令和4年入居者に適用される2種類の住宅ローン控除
住宅ローン控除の適用要件や控除額などに関するルールは、「マイホームに入居した年」のルールが基準となり、以後、その控除期間(10年間または13年間)の各年に「マイホームに入居した年」のルールが適用され続けます。
しかし、「令和4年」に入居される方は、珍しいことに、下記の2種類の住宅ローン控除のいずれかの対象になります。
・令和3年度税制改正による住宅ローン控除
・令和4年度税制改正による住宅ローン控除
令和3年度税制改正による住宅ローン控除は、「新型コロナ税特法」という法律に定められた臨時的な住宅ローン控除になります。
新型コロナ税特法とは
「新型コロナ税特法」とは、令和2年4月30日に成立・施行された国税に関連する各法の特例にあたる法律です。
新型コロナウイルス感染症やまん延防止のための措置が納税者に及ぼす影響を緩和するために創設されました。
新型コロナ税特法による住宅ローン控除が創設された理由
新型コロナの影響が広がり始める半年ほど前の令和元年10月、消費税率が10%に引き上げられました。
これを受けて、政府は、消費税10%でマイホームを取得した人のうち「令和2年末までに入居した者」に対して、通常10年である住宅ローン控除の控除期間を13年に延長する措置を、租税特別措置法の改正によって創設しました。
ところが、令和2年に入ると、新型コロナの影響によって住宅建設が遅れるなどし、令和2年末までに入居できそうにない人が出てきました。
この状況に弾力的に対応するため、政府は、新型コロナの影響によって令和2年末までに入居できなかった一定の人のうち「令和3年末」までの入居者であれば、控除期間13年の適用を認めることを、租税特別措置法の特例として、新型コロナ税特法に盛り込みました。(新型コロナ税特法第6条第4項)
そして、令和3年度税制改正では、新型コロナの影響等により低迷する住宅需要を喚起するための経済対策として、「令和3年~令和4年末」の入居者にも、新型コロナの影響を受けたかどうかに関係なく、控除期間13年の措置を適用することや小規模な住宅も適用対象にすることなどを新型コロナ税特法に追加しました。(新型コロナ税特法第6条の2)
このことから、「令和4年の入居者」は、令和3年度税制改正における新型コロナ税特法による住宅ローン控除の対象になる方と、令和4年度税制改正における租税特別措置法による住宅ローン控除のいずれかの対象になる方の両方が存在する、とてもめずらしい状態にあるのです。
新型コロナ税特法の住宅ローン控除の方が有利
令和4年度税制改正による住宅ローン控除では、控除率が「0.7%」に引き下げられるなど、近年の住宅ローン控除に比べて不利なルールになりました。
しかし、令和3年度税制改正による新型コロナ税特法の住宅ローンの控除率は、令和3年入居者の控除率と同じ「1%」です。
他にも、合計所得金額の上限や住民税からの控除上限などの面において、令和4年度税制改正の内容よりも、有利な条件で住宅ローン控除を受けることができます。
【(参考)新型コロナ税特法の住宅ローン控除】
令和3年度税制改正「新型コロナ税特法」の住宅ローン控除の要件
令和3年度税制改正における「新型コロナ税特法」の対象になるのは、①「特別特例取得」と②「特例特別特例取得」のいずれかに該当する方法でマイホームを取得した方に限られます。
いずれも「契約日」がポイントです。
①「特別特例取得」とは
以下のすべてを満たす住宅の取得をいいます。
・令和3年1月1日~令和4年12月31日までの入居であること
・工事請負契約や売買契約の日が、下記の期間中であること
・住宅取得の対価に含まれる消費税がすべて10%であること
上記の要件でマイホームを取得し、かつ、住宅ローン控除を受けるための基本的な要件を満たしていれば、新型コロナ税特法による住宅ローン控除を受けることができます。
②「特例特別特例取得」とは
①「特別特例取得」の適用対象を床面積50㎡未満の小規模な住宅に拡大したもので、以下のすべてを満たす住宅の取得をいいます。
・令和3年1月1日~令和4年12月31日までの入居であること
・工事請負契約や売買契約の日が①「特別特例取得」と同じ期間中であること
・住宅取得の対価に含まれる消費税がすべて10%であること
・取得した住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満であること
・合計所得金額が1,000万円以下であること
上記の要件でマイホームを取得し、かつ、住宅ローン控除を受けるための基本的な要件を満たしていれば、新型コロナ税特法による住宅ローン控除を受けることができます。
【新型コロナ税特法】令和4年入居者の住宅ローン控除に注意 記事まとめ
令和4年にマイホームに入居される方は、新型コロナ税特法の対象でないかを確認しましょう。
なお、いずれの住宅ローン控除を適用する場合でも、住宅ローン控除を適用するための基本的な要件は満たす必要があります。
【主な要件】
・親族等から購入した住宅や借りた金銭でないこと
・新築または取得の日から6か月以内に入居すること
・控除を適用する各年の12月31日まで引き続き居住すること
・控除を適用する各年において、必要書類を添付した確定申告を行うこと(2年目以降は年末調整でも可)
など
【 起業支援 ・節税対策なら名古屋市北区の三宅正一郎税理士事務所にご相談下さい】