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その短期前払費用は正しい?短期前払費用の要件と適用時の注意点

2019.08.21

短期前払費用とは

短期前払費用とは、その全額を、支払った日の属する事業年度の損金に算入することができる費用のことです。
また短期前払費用の支払いが消費税の課税対象取引となる場合は、支払いの時に全額を課税仕入に計上できます。
短期前払費用に該当する支払いは、「短期」における「前払費用」に限られます。

前払費用とは

前払費用とは、会社が一定のサービスを受けるために支出した費用のうち、その事業年度が終わるまでの間に、まだ提供を受けていないサービスに対応するものをいいます。
たとえば、3月決算法人であるA社で、事務所の毎月の家賃を1ヶ月分前払いしている場合、3月に支払った4月分の家賃は、翌期の費用ですから、A社では、4月分の家賃を前払費用として資産に計上します。
もう一つ例をあげると、A社では火災保険料を、毎年9月に1年分(10月分から翌年9月分)前払いしているとします。
この場合、10月分から翌年3月分は当期の保険料で、翌年4月分から9月分は前払費用となります。
しかし、これらを正しく会計処理しても、毎年継続して同じ金額を支払うものの場合、あまり意味はありません。
そこで、会計上は「重要性の低い前払費用なら、支払ったときに全額費用としていいですよ」というルールがあります。(企業会計の重要性の原則といいます)
法人税もこの考え方を採用し、重要性の低い「前払費用」のうち「短期」のものに限って、支払った事業年度に損金にできるとしています。

短期とは

短期とは、支払った日から1年以内に、そのサービスの提供を受けられるものをいいます。
たとえば、さきほどのA社の家賃は、支払った日の翌月のものなのでOKです。
A社の火災保険料については、少し注意が必要ですが、国税庁では、4月分から翌年3分を3月下旬に支払うケースに対し、短期前払費用の適用の可否を照会した事例について、適用を認める旨の回答をしています。

国税庁HP:短期前払費用の取扱いについて(事例4参照)

この結果から、下旬(つまり10日前後の誤差)であれば、認められる可能性が高いと考えてよいでしょう。

短期前払費用を適用するときの注意点

支払い日から1年以内にサービスを受けるものであること

短期前払費用の対象は、支払った日から1年以内にそのサービスの提供を受けられるものをいいます。
たとえば、4月分から翌年3月分の支払いを、2月に行っている場合は、適用できません。
この場合は、全額が短期前払費用の損金算入ルールから除外されます。

継続適用すること

短期前払費用は、継続適用が必要です。
「今期は利益が上がったから、1年分を損金に算入しよう」のような利益操作に利用することはできません。

一方的に1年払いにしても適用されないこと

短期前払費用を適用するには、契約内容に従った支払い方法で、適用の判断を行う必要があります。
たとえば、本来は月払いの契約の料金を、一方的に12ヶ月分振り込み、その12ヶ月分の料金に対して適用することはできません。

適用できない支払いもあること

対象は、サービス(役務の提供)に対する支払いですので、たとえば新聞や雑誌の購読料などは対象になりません。
またサービスの内容が均質でないもの(例:弁護士の顧問料、税理士の顧問料等)や、収益との対応関係があるもの(例:運用目的の借入金の支払利子等)も対象になりません。

短期前払費用の活用メリット

短期前払費用は、事務負担の軽減に効果を発揮します。
年払いの支払い契約が多い会社は、前払費用の管理が本当に大変です。
たとえばA事務所の家賃は、3月から翌年2月分、B事務所の家賃は5月から翌年4月分、のように、サービスの対象となる期間が異なると、計算ミスや、処理漏れが起こりやすくなります。
専用の一覧表などを作って別途管理する必要もあるでしょう。
これらに短期前払費用を適用すれば、経理はかなり効率化します。

短期前払費用の節税効果

「短期前払費用は節税になるか」というご質問をいただくことがあります。
確かに短期前払費用を適用すると、契約初年度の節税効果は期待できます。
ただし前払いという支払方法には、まとまった資金を前もって用意し続けなければならないという財務面のデメリットもありますので、節税のために支払方法を決定するのは、早計かもしれません。
また国税庁は、前掲のHPにおいて、「利益操作のための支出や収益との対応期間のズレを放置すると課税上の弊害が生ずると認められるものについてはこれを排除する」必要がある旨を回答しています。
短期前払費用を適用される場合は、税務上の問題がないかどうか、また財務の面で前払いが妥当かどうかなど、一度、税理士にご相談ください。

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