相続空き家を売却したときの3,000万円の特別控除の適用要件を解説
2024.05.1
相続した空き家を売却した時の3,000万円の特別控除を適用するには、複数の条件を満たす必要があります。
代表的な条件は、下記の5つに分けてチェックするとよいでしょう。
・家屋の条件
・家屋の用途の条件
・売却先・金額・期限に関する条件
・売却方法に関する条件
・確定申告に関する条件
この記事では、相続空き家の特例の適用条件を、5つに分けて解説します。
家屋の条件
昭和56年5月31日以前に建築されたこと
相続した空き家の建築年月日が、昭和56年5月31日以前であることが条件です。
建築基準法における新耐震基準の施行日(昭和56年6月1日)より前に建築された家屋が対象になります。
建築年月日は、登記事項証明書、確認通知書、購入時の売買契約書、重要事項説明書などの書類で一般的には確認をすることができます。
区分所有建物登記がされている建物でないこと
区分所有建物とは、一つの建物が区分して登記されているものをいいます。
相続した家屋が、区分所有建物として登記されているマンションや二世帯住宅などである場合は、特例の対象になりません。
家屋の用途の条件
相続前と相続後の家屋の用途についても条件があります。
相続前の用途
原則的には相続開始の直前まで、被相続人(亡くなられた方)が一人で居住していたことが条件です。
例外的に、被相続人が要介護認定などを受けて老人ホーム等に入所していたなど一定の事情に該当する場合も特例の対象になります。
なお、老人ホーム等に入所していたとしても、その家屋は相続開始の直前まで引き続き被相続人の物品の保管場所などとして使用されていることが必要になります。
相続後の用途
相続開始から売却の時まで、空き家の状態であったことが条件です。
言い換えると、相続人を含む誰かの住まいとしたり、賃貸をしたりしていないことが条件になります。
売却先・金額・期限に関する条件
売却先・売却金額・売却期限についても条件があります。
売却先:第三者であること
売却先(空き家の買い手)が第三者であることが条件となります。
つまり、売却先が空き家の相続人(売り手)と特別の関係にある個人や法人でないこと必要です。
特別の関係にある個人や法人とは、空き家の相続人(売り手)から見て、下記の関係にあたる個人や法人になります。
・配偶者、直系血族、同一生計の親族
・家屋を売った後にその売った家屋で同居する親族
・事実婚の相手やその相手の同一生計の親族
・空き家の相続人から受け取る金銭等で生計を維持している者(相続人の使用人を除く)
・同族会社など特別の関係にある法人(空き家の相続人本人、上記の人物、相続人の使用人やその使用人と同一生計の親族などによって支配されている法人)
売却金額:1億円以下であること
空き家の売却金額が「1億円以下」であることが条件になります。
複数年にわたって分けて売却をする場合、「1億円以下」の判定については各年の合計金額で判定します。
また、複数の相続人で相続をして売却する場合、それぞれの売却代金で判定するのではなく、各相続人が売却した代金の合計で「1億円以下」かどうかを判定します。
売却期限:相続から3年経過日の12月31日まで
空き家の売却は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12 月31日までの間にする必要があります。
また、この特例そのものの施行期限は、現行法で令和9年12月31日までになっていますので、その間に売却する必要があります。
売却方法に関する条件
空き家の売却方法は、下記の3パターンに分かれます。
1 家屋のみの売却
2 家屋及び敷地の売却
3 敷地のみの売却(家屋を取り壊して土地のみを売却するパターン)
この3つのうち家屋を売却するパターン(上記1・2)については、家屋が耐震基準に適合している必要があります。
もし相続した家屋が耐震基準に適合していなければ、次のA~Cのいずれかの対応によって、特例を適用できるようになります。
A:相続人側で耐震リフォームを施してから売却をする
B:相続人側で家屋を取り壊し、敷地のみを売却する(上記③で特例を使う)
C:【令和6年1月1日以後】買い手が翌年2月15日までに耐震リフォームを施すか、家屋を取り壊す
上記のAとBは、相続人側で特例条件に適合するためのアクションを必要とするものです。
しかし、このことが相続人の負担となって空き家が放置されてしまっては意味がないことから、令和5年度税制改正によって、令和6年1月1日以降の売却についてCのルールが追加されています。
令和6年1月1日以降の改正内容については、次回の記事で解説します。
確定申告に関する条件
空き家特例を適用するには、売却した年分の確定申告書を、特例適用に必要となる書類とともに提出する必要があります。
なお、相続財産の売却や家屋の売却は、この空き家特例の対象にならなくても別の優遇税制の対象になる場合があるので、気になる方は税理士にご相談ください。
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