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【インボイス制度】立替え払いされた費用について仕入税額控除を受ける時の注意点

2024.05.22

立替え払い先からの精算書は適格請求書ではない

立替え払いとは何か

企業が負担するさまざまな費用の中には、本来のサービスの提供者に対して他の者がいったん立替え払いをし、立替え払いをした者からの請求に応じて代金を支払うものがあると思います。

わかりやすい例でいえば、店舗や事務所を賃借している場合、その店舗や事務所が入っている建物のオーナーが水道光熱費を電力会社等にいったんすべて支払い、後日、テナントの各企業にそれぞれの負担分を記載した精算書(以下、立替金精算書)を交付して代金を請求するものです。

ここからは、わかりやすいように、仕入税額控除を受けたい企業(自社)をA社、立替え払いをする者をB社、本来のサービスの提供者をC社とします。

立替え払いの注意点

A社が、B社によって立替え払いされた水道光熱費について消費税の仕入税額控除を適用したい場合、B社からもらった書類を保存しておけばよいのかというと、必ずしもそうではありません。

仕入税額控除を受けるには、原則的には自社宛ての適格請求書を保存することが必要だからです。

適格請求書の交付が困難である一定の取り引きについては、適格請求書の保存を不要とし、帳簿保存のみでよいとするものもあるのですが、立替え払いを介しているだけではその取り引きにあたりません。

それでは、C社がこの支払いについて仕入税額控除を受けるには、一体何の書類を保存すればよいでしょうか。

立替え払いによる書類保存の方法は2つ

A社が仕入税額控除を受けるための書類保存の方法には、下記の2つがあります。

・適格請求書+立替金精算書

・立替金精算書(一定の記載事項を満たしたもの)

「立替金精算書」とは、支払いを立替えた者(ここではB社)が、立て替えた金額を精算するために(A社に対して)発行する書類の呼び名になります。

以下、それぞれの書類保存について解説をします。

適格請求書のコピー+立替金精算書を保存する方法

まずは、「適格請求書+立替金精算書」による保存方法について解説します。

仮にB社がC社から交付された適格請求書を、そのままA社に渡してA社がこれを保存したとしましょう。

しかし、その書類はあくまでB社宛ての適格請求書であるため、それ単体ではA社の仕入税額控除の要件を満たしません。このことは、国税庁のQ&Aにおいても明確に示されています。(インボイスQ&A問94参照)

このような時、A社が仕入税額控除を適用するには、この「適格請求書」にB社がA社に交付する「立替金精算書」を添えて保存する必要があります。

適格請求書は「C社→B社」の書類でしかないため、A社が保存しても意味のない書類になりますが、B社発行の立替金精算書と一緒に保存することによって「適格請求書(C社→B社)・立替金精算書(B社→A社)」の繋がりを示すことができるので、「≒適格請求書(C社→A社)の保存あり」の取扱いを受けられるということです。

なお、A社が保存する適格請求書はコピーで構いません。

立替金精算書(一定の記載事項を満たしたもの)を保存する方法

もう一つの方法は、「立替金精算書」のみを保存する方法です。

B社において適格請求書のコピーが大量に必要になるなどの事情で、B社が適格請求書のコピーを各社に交付することが困難な場合に活用できる方法になります。

例えば、商業ビルのオーナーなどがまとめてビルの電気代を支払っており、テナントの多数の企業に対して精算をしなければならないようなケースが考えられます。

この場合、B社は、C社から交付された「適格請求書」の原本を保存し、かつ、A社に対して、仕入税額控除に必要な一定の事項を記載した「立替金精算書」を交付します。

ここでいう「立替金精算書」は、前項のようにC社発行の「適格請求書」がついていないため、A社が正しく仕入税額控除を計上できるよう、仕入税額控除に必要となる一定事項が記載されていなければなりません。

仕入税額控除に必要となる一定事項とは、基本的には、適格請求書の記載事項と考えてよいでしょう。

適格請求書発行事業者からの仕入れであることや適用税率ごとの区分などはもちろん、A社は帳簿に課税仕入れの相手方の名称なども記載して保存する必要がありますので、C社の名称や登録番号なども必要です。

ただし、立替金精算書とは別に通知された書面等や別に保存している契約書などでC社の名称や登録番号などがわかる場合は、必ずしも立替金精算書に記載されていなくても構いません。

立替金精算書の交付を受けられない場合

もし、B社から立替金精算書のような書類の交付を受けていなければ、A社でそれに代わる明細書を作成して、B社の確認を受ければOKです。

また、明細書に「一定期間内にご連絡いただけない場合、確認済みとします」と入れておくことにより、B社からの返事がなくても確認を受けたとみなすことができます。

なお、B社から適格請求書(原本またはコピー)を受け取らない場合、立替金精算書の記載事項に注意点があることは前述のとおりです。

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