輸入品には日本の消費税がかかります
2019.09.28
輸入品には日本の消費税がかかる
消費税の課税対象になる取引には、いくつか要件があります。
その一つが、国内での取引であることです。
そうすると、輸入品については対象外…のような気もしますが、実は、輸入品は税法上、「保税地域から引き取られる外国貨物」と呼ばれ、例外的に、日本の消費税の対象になります。
これは、消費される場所を基準に課税するという考えで、国内製品と輸入品との価格差を調整するという政策的な意図が働いています。
輸入品の消費税はいつ負担するの?
輸入品の消費税は、商品本体を購入したときに支払うわけではありません。
外国の業者に、日本の消費税を払う必要はないからです。
輸入品の消費税は、商品が日本に到着した後、保税地域から引き取る手続きの中で課税されます。
輸入から商品を受取るまでの流れ
保税地域から商品を引き取るには、関税や消費税等を、税関に納付しなければなりません。
この部分を代行してくれるのが「通関業者」です。
輸入品の引取りまでの一般的な流れは、次のようになります。
(A社:日本の会社、B社:外国の会社)
・A社からB社に商品の代金(税抜の本体価格)を支払う
↓
・B社が商品を輸出する
↓
・商品が保税地域で保管される
↓
・通関業者が納税等の手続きを代行する
↓
・A社から通関業者に代金を納付する
↓
・A社が商品を受け取る
輸入された商品は、日本に到着すると、いったん保税地域という輸入品の保管区域に保管されます。
B社からA社に、直送してもらえるわけではありません。
A社からあらかじめ依頼を受けた通関業者は、A社に代わって関税や消費税等を立て替え払いし、A社に立て替えた税金や手数料等を請求します。
つまりA社は、商品の代金はB社に、消費税等や手数料は通関業者に、それぞれ異なるタイミングで支払いを行って、ようやく商品を受取ることになります。
輸入品の仕入税額控除の計算方法
輸入品を保税地域から引き取るために支払った消費税は、仕入税額控除の対象になります。
【例】
・国内における課税仕入高 1,100万円(税率は10%とします)
・輸入による仕入高 500万円(通関業者に支払った消費税額は、消費税50万円、地方消費税10万円とします)
・原則課税(全額控除)を適用
この場合の仕入控除税額は、次のとおりです。
<消費税>
・課税仕入に係る消費税額
1,100万円×7.8/110=78万円
・輸入品にかかる消費税額
50万円
・78万円+50万円=128万円
<地方消費税>
・課税仕入に係る地方消費税額
78万円×22/78=22万円
・輸入品にかかる地方消費税額
10万円
・22万円+10万円=32万円
輸入品は「仕入高×税率」ではない
輸入品の消費税は、国内商品のように、仕入高に税率をかけて計算することはできません。
輸入品は、海外取引ならではの独自の課税標準を使用して消費税が計算されるためです。
このことから、実務では、通関業者の請求書に記載された消費税・地方消費税の額を仕入控除税額にします。
(参考)
【輸入品の消費税の課税標準】
CIF価格 + 消費税以外の消費税等 + 関税
「CIF価格」とは、CIF契約に基づく取引価格です。
ここでは、海外から運送をする際の特別価格と考えていただければ差し支えありません。
商品の船積費用、保険料、運送料などが通常の対価に上乗せされているイメージでOKです。
「消費税以外の消費税等」とは、酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税などのことです。
「関税」は、輸入品から国内の産業を守るための税金です。仕入税額控除の対象にはなりません。
輸入品の経理や税務申告は税理士に相談を
輸入品の消費税は、国内取引とは計算方法が異なります。
このため、正しい仕入税額控除を行うには、通常とは異なる仕訳・課税区分の入力が必要です。
お使いの会計ソフトでの仕様に合わせて課税区分を選択する必要がありますので、迷ったときは税理士にご相談ください。
また、通関業者からの請求書には、通関業者への手数料なども含まれ、やや複雑です。 通関業者からの請求書からの仕訳に迷ったときも、税理士にご相談ください。
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