税理士もやっているおすすめの節税対策②~倒産防止共済~【節税の定番商品】
2019.06.11
取引先が突然、倒産したらどうしますか・・・。
そんな「もしも」に備える安心のセーフティネットが経営セーフティ共済です。一般的には、倒産防止共済と呼ばれています。制度の趣旨としては、取引先の倒産等、万が一に備えるための共済なのですが、本来の趣旨以上に、節税対策商品として中小企業には広く知られています。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)ってどんな制度?
取引先の事業者が倒産した場合、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることがあります。倒産防止共済は、一時的な資金繰りの悪化を解消し、中小企業の倒産を防ぐための制度です。無担保・無保証で、拠出した金額の最高10倍(上限8,000万円)まで借入をすることができます。また、毎月の掛金は損金(法人の経費)、または必要経費(個人事業の経費)に算入でき、税制的にも優遇されています。 なお、共済金の借入は、以下の場合に受けられます。
取引先の倒産
法的整理
取引停止処分
私的整理
災害による不渡り
災害によるでんさいの支払不能
特定非常災害による支払不能
借入実行までの期間は?
取引先事業者が倒産し、売掛金等の債権回収が困難になったときは、その事業者との取引事実が確認が出来次第、すぐに借り入れることができます。スピーディーに当座の資金が調達が可能です。
掛金について
掛金は、毎月5,000円から20万円までの範囲で、任意に選択できます。なお、掛金は掛金総額が800万円に達するまで積み立てることが可能です。
また、掛金には前納制度があり、前納すると、1月につき掛金月額の1,000分の5の前納減額が受けられます。
解約した場合はどうなるのか?
共済契約を解約すると、解約手当金が受取れます。自己都合の解約であったとしても、掛金を40か月以上納めていれば、掛金の全額が戻ってきます。
税法上の取扱いはどうなっているのか?
払込んだ掛金は、法人については損金、個人の場合には必要経費に算入することができます。また、1年以内に前納した掛金も、払込んだ期の損金または必要経費に算入可能です。
ただし、前納の期間が1年を超えるものについては、各事業年度末(決算期)において、期間の経過に応じて、必要経費または損金の額に算入することになります。なお、払込時には、すべて法人の損金、個人の必要経費として所得を下げる効果がありますが、解約をした場合には、戻ってきた解約手当金がすべて法人の益金、個人の総収入金額となります(つまり課税される所得を押し上げることになります)。
なぜ節税商品として使われているのか?
戻ってきたときに課税されるのであれば、ただの課税の繰延じゃないか。と思われるかもしれませんが、そうではありません。資本金1億円以下の中小法人の場合、年800万円以下の所得については法人税率が15%、800万円超の部分については、23.4%になっています。ですので、所得が高くなりそう(800万円を超えそう)だと見込まれる期については、掛け金を多めに拠出し、利益圧縮します。その後、40か月以上拠出し、掛金の満額が解約手当金として受けられる状態にした上で、赤字が見込まれる期など、所得が極めて低くなると予想される期に解約することで、課税される法人税率を引き下げることができます。
これについては、個人事業であった場合も、所得税が累進課税で、所得が高いほど税率が高くなるので、同じことがいえます。
まとめ
・無担保
・無保証で、掛金の10倍まで借入れ可能
・取引先が倒産後、スピーディーな借入が可能
・掛金の税制優遇を上手く活用することで高い節税効果あり
・40か月以上拠出することで満額の解約手当金が受けとれる
注意事項
個人事業の場合、事業所得以外の収入(不動産所得等)には、掛金の必要経費としての算入が認められませんのでご注意ください(法人で不動産業を営んでいる場合は損金に算入できます) 。
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