交際費と会議費の境界線
2019.10.2
社内会議や得意先など外部の関係者との会議で、飲食物を提供した場合、その代金は、常に会議費で処理できるでしょうか。
今回は、交際費と会議費の境界線について解説します。
交際費と会議費の違い
交際費とは、得意先や仕入先のほか、役員や従業員を含む事業関係者に対して、
・接待
・供応
・慰安
・贈答
・その他上記に類する行為
のために支出する費用とされています。
したがって、これらのために提供した飲食物の代金は、「交際費」です。
ただし、会議に関して提供した飲食物で、一定の要件を満たすものは、「会議費」となります。
通常要する費用であれば「会議費」
たとえば自社の会議室などで開催する会議で、出席者に提供する茶菓や、昼食の弁当などの飲食物のうち、通常必要といえる程度の金額のものは、会議費になります。
会議費になる金額は、一律に定義できませんが、「1人あたり5,000円以下の飲食費」の範囲内での提供を目安にするとよいでしょう。
1人あたり5,000円以下の飲食費であれば、そもそも交際費にはなりません。
詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
ただし、部内の人間だけの場で提供したときは、1人5,000円以下であっても、「本当は会議などしておらず、社員で飲食しただけでは?」と疑われる可能性もあります。
社員同士の単なる飲食は「社内飲食費」とされ、たとえ1人5,000円以下でも、会議費にはなりません。
福利厚生費にも該当しなければ、交際費になります。
部内の人間だけの会議で昼食を提供するときは、単なる食事と疑われないよう議事録の保管などに注意しましょう。
旅行等に招待して併せて会議を行った場合
得意先などを旅行や観劇などに招待して、併せて会議を行った場合は、会議にかかる費用のうち、通常必要な分のみ会議費とすることができます。ただし、会議としての実体を備えていることが条件です。
旅行等に招待して併せて会議を行った場合の会議費用

たとえば、ホテルに招待し、その会議室で行われた会議は、一般的には会議の実体を備えていると考えられます。
議事録を作成し、日時や参加者、会議の内容を記録しておきましょう。
会議の実体を備えていると認められれば、その際に提供された茶果や弁当代は、通常必要といえる範囲内で会議費になります。
ただし、旅行や観劇、宴会などの費用は、会議ではなく接待ですので、交際費にあたります。また、茶果や昼食代であっても、会議の実体を備えていると認められない場合は、交際費となります。
接待と併せて開催される会議は、通常の会議より判断が難しいので、その実体を疎明するものが求められるということです。
まとめ
交際費には、損金算入額に上限があるため、通常の経費とはしっかり区別して経理することが大切です。
ただし、中小企業の交際費については、上限額はそれほど問題になりません。
中小企業の場合は、交際費にも会議費にも該当しない、私的な旅行や飲食の費用と疑われないことにする必要があります。
交際費や会議費の処理でお困りの際は、税理士にご相談ください。
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