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調整対象固定資産による「課税事業者選択不適用届出書」の提出制限について

2020.08.17

免税事業者が設備投資などを行うとき、あえて課税事業者になることを選択し、消費税の還付を受けることがあります。
しかし、課税事業者になることを選択した場合、原則2年間は免税事業者に戻れません。さらに課税事業者になってから一定の期間内に「調整対象固定資産」の課税仕入れを行うと、仕入れた課税期間の初日から3年間、課税事業者を選択し続けることになります。

調整対象固定資産とは

調整対象固定資産の範囲

調整対象固定資産とは、支払対価の額が税抜きで100万円以上の、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品のほか、鉱業権等の無形固定資産で、棚卸資産以外のものをいいます。(消費税法第2条第1項第16号、同法施行令第5条)

100万円以上の判定方法

100万円以上かどうかは、1つの取引単位(1個、1台、1組など)で判定します。
このとき資産を購入するための引取運賃や荷役費、事業に使うために必要となる費用は含まれません。(消費税法基本通達12-2-2)

資本的支出も対象になる

「資本的支出」も調整対象固定資産にあたります。(消費税法基本通達12-2-5)
新しい物を購入したときだけでなく、1つの資産に対する修理や改良等が100万円以上であるときも注意しましょう。

調整対象固定資産の3つの注意点

課税事業者になることを選択した事業者が調整対象固定資産を取得するときには、注意点があります。
課税事業者の選択を検討している免税事業者は、注意点を踏まえて、本当に課税事業者になることが有利か考えなければなりません。

注意点1:原則3年間、免税事業者に戻れない

課税事業者を選択し、一定期間内に調整対象固定資産を取得すると、原則3年間、免税事業者に戻れなくなります。
なぜなら、調整対象固定資産の課税仕入れを行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後しか、「課税事業者選択不適用届出書」を提出することができないからです。(消費税法第9条第7項)
一定期間内とは、課税事業者を選択した「翌課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始した各課税期間」ですので、原則は課税事業者になってから2年間となります。
説明文のみではわかりづらいため、具体例で見てみましょう。

【例】

・課税期間は1月1日~12月31日

・令和元年中に「課税事業者選択届出書」を提出

・令和2年1月1日から課税事業者になった

例の場合、令和2年か令和3年に調整対象固定資産の課税仕入れを行うと、そこから3年間、免税事業者に戻れなくなります。
もし令和3年中に調整対象固定資産の課税仕入れを行った場合、「課税事業者選択不適用届出書」を提出できるのは令和5年からで、免税事業者に戻れるのは令和6年からです。
調整対象固定資産を購入した期(令和3年)・翌期(令和4年)・翌々期(令和5年)の3年間は、課税事業者を選択し続けなければなりません。

注意点2:簡易課税を選択することも不可

免税事業者に戻れない3年間は、簡易課税も選択できません。(消費税法第37条第3項)
大きな設備投資がない平常の時期は、簡易課税の方が節税できるケースもあるのですが、それも選べないということです。

注意点3:課税売上割合が著しく変動する場合の調整

調整対象固定資産の課税仕入れを行ったことで課税売上割合が著しく変動する場合は、課税仕入れのときを1年目とした場合、3年目に、仕入控除税額から一定の方法で計算した額を増減するルールがあります。(消費税法第33条第1項)
このルールによって、せっかく1年目で消費税の還付を受けたのに3年目で仕入控除税額が減ってしまうことがあります。

補足:調整対象固定資産を購入しなくても2年は免税に戻れない

調整対象固定資産にあたる課税仕入れを行っていない場合でも、課税事業者の選択後は、原則2年間、免税事業者に戻ることはできません。
先ほどの例でいうと、令和2年1月1日から課税事業者になっている場合は、令和3年にならなければ「課税事業者選択不適用届出書」を提出できず、それにより免税事業者に戻れるのは令和4年になります。
これは、課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「課税事業者選択不適用届出書」を提出することができないというルールがあるためです。(消費税法第9条第6項)

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