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新型コロナウイルスで売掛金等を免除した時の対応について

2021.02.3

会社が取引先等に対する売掛金や貸付金を理由なく免除した場合、その免除額は、全額を損金に算入することができません。
会社が相手に経済的な利益を与えると、その価額は、法人税の寄附金という扱いになるからです。
しかし、災害の被害を受けた相手の復旧のために行う売掛金等の免除は、寄附金として扱わないという通達があります。
現在はこの通達が改正され、新型コロナウイルスの影響による免除の場合も含まれることとなりました。
この記事では、その改正内容を解説します。

新型コロナによる通達改正

なぜ売掛金等の免除が寄附金になるのか

法人税でいう寄附金は、一般的にいう「寄付」よりも広い意味を持ちます。
寄附金、拠出金、見舞金といった名目に関係なく、会社が金銭などの資産や経済的な利益の贈与・無償の供与をした場合は、相手への寄附金にあたるとされています。
また、対価を受け取ったとしても、それがその価額に対して低く、受け取った対価との差額が実質的な贈与や無償の供与になるときも同様に、寄附金として扱われます。

(法人税法第37条第7項、第8項)

取引先等への寄附金にあたると、その額の一部が損金に算入できなくなります。

災害時の取り扱い

これに対し、通達では、災害を受けた取引先等の復旧を支援する目的で、売掛金、貸付金などの債権を免除した場合、その免除による損失の額は、寄附金の額に該当しないとしています。
低利又は無利息による融資を新たにするときも、同様です。
このとき、債権の免除や融資は、災害を受けた取引先等が通常の営業活動を再開するための復旧期間中に行う必要があります。(法人税法基本通達9−4−6の2、9−4−6の3)

新型コロナウイルスによる改正

令和2年4月13日、上記の通達が改正され、追加要件を満たすことで、新型コロナウイルスの影響を受けた取引先等の復旧のために、売掛金等の免除や取引条件の変更を行う場合も、寄附金としないという内容が加わりました。

新旧の要件をまとめると、以下のようになります。

<免除する相手に関する要件>

・得意先、仕入れ先、下請工場、特約店、代理店などのほか実質的な取引関係にある相手であること

・新型コロナウイルス等の発生で、入国制限や、外出自粛の要請などの事情が生じていること

・上記の事情から、売上の減少などによって資金繰りが困難となっていること

<免除する側の要件>

・復旧支援のためのものであり、その復旧期間中に行っていること

・売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の免除であること(契約中のリース契約などの条件を変更する場合、災害後に新たに行う取引の条件を変更する場合も含まれる)

実務の対応

相手の経営状況の悪化によって売掛金や貸付金が回収できないとわかったときは、まず貸倒損失にできるかどうかを考えます。
貸倒損失として損金に算入できるのは、以下のいずれかにあたるときです。

・金銭債権が切り捨てられた場合

・金銭債権の全額が回収不能となった場合

・一定期間、取引停止後に弁済がない場合

3つの違いを簡単にいうと、まず、金銭債権が切り捨てられた場合については、再生手続きなどによって債権を免除する場合です。相手の動向が関係します。
続いて、金銭債権の全額が回収不能となった場合とは、相手の支払い能力から判断します。全額が回収できないことがポイントですので、一部免除には使えません。
最後の、一定期間の取引停止後に弁済がない場合については、最後の取引や弁済から1年以上経過している場合などです。ただし全額を損失とすることはできず、備忘価額を最低1円は残す必要があります。なお貸付金は、これによる貸倒損失が認められていません。
これらに該当しない状況下で債権の免除をすると、寄附金にあたる可能性が出てくるということです。
新型コロナウイルスによる債権免除をするとき、その時点ではまだ貸倒損失の要件にあたらないものは、先程の通達の要件を満たす書面を交わ砂どして、売掛金等の免除をする必要があると考えられます。

新型コロナウイルスで売掛金等を免除した時の対応について記事まとめ

・債権免除は法律上は寄附金にあたり、全額を損金に算入できない

・通達では新型コロナウイルスの影響を受けている取引先等については、一定の要件のもと寄附金として扱わないことができる

・貸倒損失の要件を満たしていない時は、通達の内容を満たす書面等を交わしておく必要がある


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