【新型コロナ】特別利子補給金の収入計上時期
2021.04.19
日本政策金融公庫や商工中金などから、新型コロナウイルス感染症によって売上げが減少した事業者に対して実行された一部の融資のうち、特定の要件を満たす事業者には、特別利子補給制度が適用されています。
今回は、この制度によって受けた特別利子補給金の収益の計上時期がいつになるかを、国税庁や特別利子補給制度の事務局の見解をもとに解説します。
国税庁HP:「5新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm
特別利子補給制度とは
特別利子補給制度とは、一部の融資の利息を3年間なくすためのものです。
特別利子補給制度の対象となる融資
【日本政策金融公庫】
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
・生活衛生関係営業新型コロナウイルス感染症特別貸付
・小規模事業者経営改善資金(新型コロナウイルス関連のもの)
・生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付(同上)
【商工中金】
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
【日本政策投資銀行】
・危機対応業務(危機対応融資)
上記の融資であれば、融資額のうち2億円までの部分に対応する利子の3年分が、利子補給制度の対象になります。
日本政策金融公庫の国民事業による融資や、沖縄公庫による生業資金・生活衛生資金の融資は、4,000万円までです。
特別利子補給制度の対象者
・個人事業主
・売上高が15%以上減少している小規模企業者(おおむね常時使用する従業員の数が20人以下。商業又はサービス業は5人以下)
・売上高が20%以上減少している中小企業で、上記にあたらないもの
売上高の減少率は、前年、前々年、3年前の同期などと比べて判定します。
特別利子補給金の収入計上時期
特別利子補給金は、助成金の一つですので、法人の収益扱いとなります。
しかし、受け取ったときに一括して収益にすると不合理があるため、利子を実際に支払うタイミングに分けて計上します。
特別利子補給金の交付のしくみ
特別利子補給制度では、国から3年分の利子に相当する金銭が一括で振り込まれることによって、実質無利子化とする制度です。
振り込まれた金銭は、助成金ですので、法人の収益扱いとなります。
収益計上時期は利子が発生するタイミング
一括で振り込まれるとしても、その助成金は、以後3年間にわたって発生する利子の負担をなくすためのものです。
しかも、途中で融資契約の変更があるなどして利子が変動し、振り込まれた特別利子補給金と実際の利子に差額が生じたときは、その差額を返還する、または追加交付を受けることになります。
そのため、一括で振り込まれた時点では、まだ収益として不確定な助成金でもあります。
このことから、特別利子補給金を受け取ったときは、いったん「前受金」などの勘定科目で処理し、その後、利子が生じるタイミングでそれを取り崩し、収益とします。
会計処理の例
・特別利子補給金300万円が振り込まれた
普通預金 300万円 / 前受金 300万円
・日本政策金融公庫に利息100万円を支払った
支払利息 100万円 / 普通預金 100万円
前受金 100万円 / 雑収入100万円
特別利子補給金に過不足が生じたときは、その額を未払金や未収金で調整し、後日、返還・追加交付を受けたときに振り替えます。
【新型コロナ】特別利子補給金の収入計上時期 記事まとめ
・特別利子補給金は、収益になる
・入金時は前受金などで処理し、利子の発生に合わせて収益に振り替える
なお、民間の金融機関によるコロナ関連の融資にも、実質無利子となる制度がありますが、こちらは、直接事業者に金銭を交付するものではないため、特別な処理をする必要はありません。
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