定額減税による控除しきれない不足額が発生した時の「調整給付」とは?
2024.06.5
定額減税によって控除しきれない金額が発生した時、その差額にあたる金銭が給付されます。
この給付を「調整給付」といいます。
この記事では、定額減税によって実施される「調整給付」の金額の計算や給付方法などについて解説します。
定額減税によって控除しきれない金額が発生する場合がある
定額減税の金額とは
定額減税とは、所得税や住民税の納税義務者である個人に対し、その所得税や住民税を減税する形で実施される経済政策になります。
定額減税によって減税される金額は、所得税から3万円、住民税から1万円で1人あたり4万円です。
ただし、減税の対象となる人に同一生計の配偶者や親族を扶養している場合、その人数に応じて1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)の減税額が加算されます。
加算対象になる配偶者や親族の要件については、こちらの記事で解説しています。
控除不足が生じた場合は「調整給付」
前述のとおり、定額減税の金額は、その人の家族の状況によって変わります。
しかし、実施方法が「減税」である以上、定額減税の金額以上の納税額が納税者本人になければ、十分な控除を受けられないのではないかということが心配になるところです。
このような控除不足が生じないよう、控除しきれない金額が生じた場合はその差額にあたる金額が「調整給付」として支給されることになっています。
調整給付の実施方法
現在、内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」(以下、地方創生サイト)において、定額減税に関する自治体向けの各種資料が公開されており、調整給付の内容についても、こうした資料から読み取ることができます。
以下、地方創生サイトで公開されている自治体向けの概要資料のうち「低所得者支援及び定額減税補足給付金(うち調整給付)」や「自治体職員向けQ&A」(いずれも令和6年4月1日版)をもとに、調整給付の実施方法や金額について解説します。
調整給付の対象者
定額減税の金額が、納税者本人の納税額を上回ると見込まれる者です。
所得税・住民税ともに、定額減税の金額を上回る納税額がない場合(ないと見込まれる場合)に給付が実施されます。
調整給付の金額
以下の方法で計算した「所得税の控除不足額(ア)」と「住民税の控除不足額(イ)」の合計額が、1万円単位で切り上げて給付されます。
【(ア)所得税の控除不足額】
所得税の定額減税額(上記参照)-令和6年分推計所得税額
ここでいう「令和6年分推計所得税額」とは、「令和5年分の所得に基づく所得税額」のことです。
【(イ)住民税の控除不足額】
住民税の定額減税額(上記参照)-令和6年度分住民税額
「令和6年度分住民税額」とは、「令和5年分の所得に基づく住民税の所得割」のことです。
【調整給付額】
(ア)+(イ)
金額は、1万円単位で切り上げます。(例:1.5万円→2万円を支給)
1万円を切り上げて支給することによって、本来の定額減税よりも多く還元される方がでてくることになります。
これについては、制度のわかりやすさや自治体における事務負担軽減などを考慮したものであり、たとえ超過給付が発生したとしても望ましい給付の方法であると説明されています。
調整給付の実施者
調整給付は、令和6年度の個人住民税を課税する自治体が実施します。
調整給付の実施時期
調整給付額の算定などの事務処理は、令和6年6月3日が目安として設定されています。このことから調整給付の開始は、「令和6年夏以降」になると見込まれています。
調整給付の追加が検討されている
調整給付額の計算において、所得税は「令和6年分の推計(令和5年分の所得税額)」に基づき、先行的に行われます。
地方創生サイトの資料によれば、令和6年分の所得税が確定し、夏以降に給付された調整給付額に不足額があることが判明した場合、その不足分の追加給付についても検討されているそうです。
実施される場合、時期は令和6年分の所得税の確定申告後になると考えられます。
また、逆に給付が過剰であることが判明することもあるはずですが、この場合には返還は求めないとされています。
(※)情報は令和6年4月1日版の地方創生サイトの資料に基づいています。調整給付の詳しい情報は、自治体のホームページ等でもご確認ください。
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